2007 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κB活性阻害剤の尿路上皮癌への抗癌剤としての応用
Project/Area Number |
19591871
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
堀口 裕 Tokyo Medical University, 医学部, 講師 (60229234)
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Keywords | 尿路上皮癌 / 分子標的治療 / NF-κB / 転写因子 / アポトーシス |
Research Abstract |
【目的】転写因子NF-κBは、免疫・炎症に深く関与するほか、アポトーシスを阻害する作用があることが知られている。このため、NF-κBを阻害する化合物は新しい抗癌剤として発展する可能性がある。DHMEQは抗生物質であるepoxyquinomicin Cの構造をもとに分子デザイン・合成された新規epoxydone化合物である。我々は本研究とは別に、DHMEQがホルモン抵抗性前立腺癌JCA-1細胞においてNF-κB活性を阻害し、in vitroおよびnude mouse xenograft modelにおいて抗腫瘍効果を示すこと、癌悪液質に対して抑制効果を有することを報告した。本研究では、各種サイトカイン産生ヒト尿路上皮癌細胞に対する、DHEMQによる、転写因子制御効果による癌細胞のサイトカイン産生抑制作用を検証し、癌に対する新規治療薬としての確立を目指すものである。具体的には、ヒト膀胱癌より樹立され、恒常的にNF-κBが活性化しているKU-19-19細胞を用いてDHMEQのNF-κB阻害効果を検討した。【方法および結果】DHMEQは20μg/mlでKU-19-19細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導した。さらに、xenograft modelにおいて抗腫瘍効果が示された。electrophoresis mobility shift assayを用いて検討したところ、DHMEQ10μg/ml処理後2-6時間でNF-κB活性が阻害された。GFP標識p65を用いた観察により、DHMEQはNF-κBの核移行を阻害していることが示された。DHMEQはIκBのリン酸化、分解には影響しなかった。【結論】以上より、DHMEQは、KU-19-19膀胱癌細胞において恒常的に活性化されたNF-κBを阻害する作用を持ち、分子標的治療薬となりうることが示された。
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