2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラット射精誘発モデルを用いた機能評価法の確立とその創薬ならびに副作用解析への応用
Project/Area Number |
19591884
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
米沢 章彦 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (30167738)
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Keywords | 射精 / 機能解析 / 前立腺肥大症治療薬 / dopamine受容体 / serotonin受容体 / 糖尿病 / 射精障害治療薬 |
Research Abstract |
当該研究は、小動物を用いた簡便かつ確実性と信頼性の高い射精機能解析・評価法を確立し、1)未だ有効な治療方法が確立されていない射精障害に対する新規治療薬の開発、2)近年、副作用として問題視されている前立腺肥大症治療薬の射精障害比較ならびにその障害機序の解明、3)糖尿病、特にI型糖尿病患者の合併症として高頻度で発現する射精障害の解析とその治療薬探索、等に応用することを課題としている。平成20年度は、科学研究費の補助を受け、前年度に確立したラットにおける射精機能解析・評価法を用い上述の課題検討を行い、以下のような結果を得た。1)新規射精障害治療薬の探索:新規の射精機能解析・評価法を用いた広範囲なスクリニングから、極めて低用量のD2-受容体作動薬と5-HT2-受容体作動薬の同時併用が著明な機能促進効果を発現することを明らかにした。この結果は、副作用の少ない新規治療薬の開発に繋がる発見と考えられ、平成21年度はsubtypeや作用点の特定も含めて更に検討を進める。2)前立腺肥大症治療薬の射精障害解析とその障害機序の解明;前立腺肥大症治療薬であるα1-アドレナリン受容体遮断薬の射精障害程度が臨床で用いられている薬物間で著しく異なることを見いだし、またその障害が主にα1A-受容体subtypeを介した精嚢腺の収縮障害である可能性を明らかにした。このような結果を踏まえ、臨床の場で機能維持を希望する患者に対しては障害の少ない薬物を選択すべきことを学会シンポジウムにて講演した。3)糖尿病の合併症として発現する射精障害とその治療薬の探索:I型糖尿病モデルラットを用い、射精機能解析・評価法にて射精障害の発症時期や障害程度を検討し、糖尿病発症後早期から射精機能が障害されること、早期のインスリン補充療法はこの機能障害を防止するが、障害が進行すると完全には回復しないこと、またその障害は主に精嚢腺における分泌機能の低下に起因することを明らかにした。
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