2009 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植におけるプロテオーム解析による急性・慢性拒絶反応の低侵襲診断技術の確立
Project/Area Number |
19591885
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉田 一成 Kitasato University, 医学部, 准教授 (10174921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 康雄 北里大学, 医学部, 講師 (60286359)
大石 正道 北里大学, 理学部, 講師 (40233027)
小寺 義男 北里大学, 理学部, 准教授 (60265733)
馬場 志郎 北里大学, 医学部, 教授 (00051889)
大草 洋 北里大学, 医学部, 助教 (70337963)
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Keywords | 腎移植 / 血中抗体 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
腎移植にとって拒絶反応は最大の障壁であるが、その診断を的確に診断する臨床的マーカーはないため、血清クレアチニン値などの血液検査で腎機能の悪化、尿中蛋白量の上昇、発熱、尿量減少、浮腫などの臨床症状やなどを目安としている。この研究はプロテオミクス解析技術を用いて腎移植後の急性拒絶反応、慢性拒絶反応の早期診断治療効果判定を可能とする尿中マーカー蛋白質候補を探索することを目的とする.平成21年度は(1)尿検体の取り扱いと尿プロテオーム解析法の確立。(2)腎移植後に拒絶反応を示した患者尿の経時的なプロテオーム解析。(3)尿中のペプチド分析法の確立を行った。概略を以下に示す。 (1)従来法では10mLの尿の処理に約5時間、1検体約5000円のコストがかかっていたが、高価なゲル濾過カラムを使用せず限外濾過法だけで濃縮・脱塩する方法を確立した。これにより1検体約3時間で、コストも2000円程度となった。(2)腎移植後に安定した経過をたどる腎移植後患者と腎移植後拒絶反応を示す患者尿を経時的に採取し、(1)で確立した前処理法を用いて脱塩・濃縮後にSDS-PAGEで比較解析した。その結果、両者において腎移植に伴い尿中の蛋白量ならびに蛋白組成が一時的に大きく変動するが、腎移植後約1週間で移植前の尿とほぼ同じ状態になることがわかった。そこで、腎移植後拒絶反応を起こした患者尿において腎移植後1週間から3カ月経時的の尿を二次元電気泳動法で分析した。その結果、経時的に変動する約10種類の蛋白質スポットを検出した。さらに、これらの蛋白質スポットを切り出して、ゲル内消化後、LC-MS/MS分析にて同定した。現在、この中の3種類の蛋白質に関しては抗体を入手しウエスターンプロッティング法による確認・評価の準備を行っているが、いずれも思った以上にバックグラウンド信号が強いため様々な条件検討を行っているところである。(3)使い捨ての逆相カラムを用いて効率よくペプチドだけを濃縮する方法の確立に成功した。
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