2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト無精子症原因遺伝子の同定および精子形成過程におけるメカニズムの解析
Project/Area Number |
19591887
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
宮本 敏伸 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (70360998)
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Keywords | 無精子症 / 不妊症 / 遺伝子 / 生殖医学 |
Research Abstract |
近年、日本の最も深刻な社会問題の一つとして間違いなく少子化問題が存在する。しかしながら、その背景として先進国では近年不妊症カップルが増加傾向にあることは一般にはあまり認識されていない。不妊症の原因の約50%は男性因子によるとされており、その重要性は疑う余地もないが、近年の体外受精および顕微授精に代表される治療法の進歩によりその成果は着実にあがっているものの、精巣内にすら成熟精子を有さないいわゆる非閉塞性無精子症は現在でも有効な治療法が全く存在しないのが現状である。 我々はヒト正常精巣組織及び組織学的に減数分裂停止に起因すると診断された無精子症患者の精巣からそれぞれRNAを抽出しdifferential screeningおよびマイクロアレイ法にて無精子症患者の精巣においてその発現が低下している10個の新規遺伝子を同定した。その1つであるSPATA17遺伝子を減数分裂停止による無精子症患者18名のGenomic DNAを用いて解析しSPATA17のSNPがヒト精子形成、特にその減数分裂過程において深く関与していることを証明した,さらに新たなヒト無精子症原因遺伝子としてヒトPRDM9 (MEISBTZ)遺伝子の同定にも成功した。現在無精子症患者の治療においてはTESE法があるが、その前に染色体検査、血液による内分泌学的検査、精巣の超音波検査などが行われるが、精巣内に精子が存在するかどうかは、実際に外科的にTESEを行って初めて判明するのが現状である。今後さらにヒト精子形成に関与する遺伝子を同定するとともに、それらが互いにどのように関与しているのかを解明し、より簡便かつ的確な診断方法を開発することとする。
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