2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト無精子症原因遺伝子の同定および精子形成過程におけるメカニズムの解析
Project/Area Number |
19591887
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
宮本 敏伸 Asahikawa Medical College, 医学部, 講師 (70360998)
|
Keywords | azoospermia / meiosis / PARP-2 / SPATA17 / SNP |
Research Abstract |
近年、マウスParp-2遺伝子が精子形成過程に関与していることが判明した。我々はヒトPARP-2遺伝子と無精子症との関係を解析した。対象は減数分裂停止に起因する無精子症患者で、遺伝子のcoding regionで、ダイレクトシークエンス解析法により、mutation解析を施行し、得られた多型部位において患者群とコントロール群において統計学的な解析を行った。その結果、ヒトPARP-2において5つのSNPを検出し、患者群では正常コントロール群に比べ統計学的に有意な差を認めた。結果、ヒトPARP-2遺伝子が減数分裂停止に起因するヒト無精子症に関与していることが示唆された。 2006年マイクロアレイ法により減数分裂異常による無精子症患者の精巣においてその発現が低下している遺伝子がいくつか同定された。そこで我々はそのうちの一つであるSPATA17遺伝子に着眼し解析を行った。まず組織学的に減数分裂停止に起因する無精子症と診断された日本人患者19名及び妊孕性が確認されている正常コントロール96名から血液を採取し、DNAを抽出した。ヒトSPATA17遺伝子の全てのcoding regionに隣接するイントロン部位にプライマーを設定し、nested PCRを行いダイレクトシークエンスによりmutation解析を行った。得られた結果を統計学的に解析し、その有意差を検討した。解析の結果、エクソン5,6,7においてそれぞれSNP1,SNP2,SNP3を検出した。患者群と正常コントロール群でゲノタイプ及びアレルの出現頻度を検討したところ、SNP3において患者群とコントロール群ではゲノタイプ(p=0.00054)アレル(p=0.00075)の出現頻度ともに統計学的に有意な差を検出した。本研究によりヒトSPATA17遺伝子がヒト精子形成過程、特にその減数分裂に重要な役割を担うことが強く示唆された。
|