2008 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠母体血管の内皮機能と弾性変化からみる子宮内環境悪化とその修復の可能性
Project/Area Number |
19591889
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千坂 泰 Tohoku University, 病院, 講師 (40323026)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 州博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
岡本 聡 東北大学, 病院, 臨床検査技師 (40420020)
|
Keywords | 胎児プログラミング / 低蛋白食 / 葉酸欠乏食 / エピジェネティック / ヒストン修飾 / ビタミン補充 / 胎児発育不全 / Igf axis |
Research Abstract |
マウス母獣低栄養モデルにおいて胎仔への影響を解析した。妊娠全期間を通して蛋白摂取量を制限した群ではコントロール群に比べ胎仔体重には有意な変化が見られなかったが、妊娠後半期に制限した群では有意な減少を認め、特に妊娠後半の母体低栄養が胎児発育不全に関与することが明らかとなった。また、この制御機構には胎仔肝臓Igf2遺伝子のピストン修飾が関与していることを見出した。さらに興味深いデータとしてこの妊娠後半蛋白制限マウスに葉酸、ビタミンB6、12を補充すると胎仔体重がコントロール群と同じレベルに回復することが分かり、妊娠中のビタミン摂取の重要性が示された。さらに、早産児脳障害機構の解析として母体低蛋白と子宮内炎症負荷について検討したが、母獣蛋白制限に子宮内炎症が加わると、胎仔脳における稀突起膠細胞が傷害されることが分かつた。また、妊娠後半葉酸欠乏食による胎仔への影響を解析したが胎仔体重がコントロール群に比べ有意に減少しておりこの傾向は特にメスで顕著であった。この胎仔脳の解析により、Hdac7aというピストン修飾に関わる遺伝子発現がメスにおいて有意に減少していることも分かつた。これらの結果により、母獣の栄養摂取が胎仔のエピジェネティックな遺伝子発現に関与し胎児プログラミングに影響を及ぼすことが示された。今後の妊娠管理において母体の栄養状態を十分に考慮することが重要であることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)