2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規GHRHアンタゴニストの婦人科腫瘍及び卵巣機能に対する効果と作用機序の解明
Project/Area Number |
19591890
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 哲 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (90251264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 俊介 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (70270874)
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Keywords | GHRH / GHRHアンタゴニスト / 子宮内膜症 / 受容体 / 細胞周期 |
Research Abstract |
子宮内膜症の病態におけるGHRHおよびGHRH の SV1受容体の関与について検討した。 (1) 非子宮内膜症患者からの子宮内膜、子宮内膜症患者からの子宮内膜および子宮内膜症病変を採取し、RT-nested PCR 法にて GHRH およびGHRH のSVI受容体 mRNA の発現を解析した。3種類の検体において GHRH mRNA の発現の割合はそれぞれ25%、26%、24%で、ほぼ同程度であった。一方、SV1受容体mRNAは子宮内膜症病変に63%の割合で発現していたが、子宮内膜においては0%(子宮内膜症患者)、10%(非子宮内膜症患者)と有意に少なかった。 (2) 培養ESCにおいてSV1受容体 mRNA の発現を認められた。ESCを血清不含の培養液で48時間培養した。その後、hGHRE(1-29)NH2 を添加し2時間刺激した後の培養上清を回収しEIA 法を行った。培養上清中のcAMPはhGHRH(1-29)NH210-9M〜10-6Mの範囲で濃度依存性に増加した。 (3) BrdU 取り込み法を用いた細胞増殖についての検討では、hGHRH(1-29)NH2 10-7Mを添加し24、48時間後の ESC 細胞の DNA 合成能は、各々対照の20%、27%に亢進していた。また、hGHRH(1-29)NH2 10-7M添加では、23%と33%に亢進した。しかしながら、SVl受容体の発現が認められなかったESCでは、hGHRH(1-29)NH2による増殖亢進作用は認められなかった。 (4) ESCに hGHRH(1-29)NH210-6M刺激24、48時間後、フローサイトーメトリーで細胞周期について検討した。hGHRH(1-29)NH210-6Mにより、S期とG2/M期細胞の割合は対照群と比較して有意に高値であった。一方、G0/G1期細胞の割合は減少していた。 以上より、子宮内膜症病変のGHRHが局所因子として子宮内膜症の発症\進展に影響を与えている可能性とGHRHアンタゴニストによる子宮内膜症の局所的治療法の可能性が示唆された。
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