2008 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血免疫細胞の胚着床促進機構の分子生物学的解析とそれを応用した不妊治療法
Project/Area Number |
19591894
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉岡 信也 Kyoto University, 医学研究科, 非常勤講師 (90333575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252456)
西 英一郎 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30362528)
高尾 由美 京都大学, 医学研究科, 助教 (20447957)
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Keywords | 免疫細胞療法 / 不妊症 / 体外受精 / 着床不全 / 子宮内膜 |
Research Abstract |
これまで着床不全に対する治療としては子宮内膜の分化を目指した内分泌的アプローチや培養環境を整え胚のqualityを向上させる試み、さらにblastocystまで培養した後に移植することによって子宮内膜の分化との同期を目指した試みがなされ一定の成果を挙げているが、残念ながら飛躍的な妊娠率の向上は達成されていない。本研究担当者らは、免疫系細胞、特に末梢血免疫系細胞がヒト妊娠黄体の分化と機能維持にむしろ積極的に関与していることを見いだしてきた。着床現象においても、免疫系細胞は胚の存在を認識して機能を変え、子宮内膜の分化や胚の浸潤に対して促進的な役割を果たしていることを明らかにしてきた。これらの基礎的研究を経て、京都大学倫理委員会の承認の下、着床不全症例に対する新たな治療法として、自己のリンパ球を子宮内膜に局所投与して子宮内膜を着床可能な状態へ誘導する治療法を開発し、臨床応用で有意な成果を挙げることができた。本研究の概念は、胚からのシグナル(妊娠成立の情報)を得た末梢血中の免疫細胞が、子宮内膜および胚発生に作用して胚着床に有利な環境を構築するというものであり、免疫系による新しい胚着床調節機構を提示した点で独創的である。さらにこの考えを発展させ、子宮内膜分化不全が原因となる着床障害に対して、従来の内分泌学的なアプローチとは別に、患者の末梢血免疫細胞を用いた新しい治療法の開発を免疫学的側面から提示した点で意義深い。また本研究は、原因不明の着床障害患者に対する免疫機能異常を含んだ病態解明とその診断法および治療法の開発に新しい展開を導くものと予想され、この点でも本研究の成果は生殖医学において重要な意義を持つと考えられる。
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Research Products
(6 results)