2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜症の発生に関与するサイトカインおよびそのレセプター遺伝子の遺伝子多型解析
Project/Area Number |
19591903
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
北脇 城 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 准教授 (00204925)
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Keywords | 子宮内膜症 / 遺伝子多型 / サイトカイン / HLA / Killer immunoglobulin-like receptor |
Research Abstract |
子宮内膜症は、性成熟期女性の約10%に発生すると推定され、少産・晩婚化に伴って増加傾向にある慢性疾患である。病因は未だ不明であるが、遺伝的要因も一部ではあるがその発生に関与している。我々はすでに、遺伝子多型解析によりエストロゲン・レセプターα、CYP19、PPAR-γ、HLA-Class I(-A,B,-Cw)およびClass II(-DR,-DQB)遺伝子などが疾患感受性遺伝子の候補であることを報告してきた。そこで、本研究では、子宮内膜症の発生・進展に関連することが示されているサイトカインおよびそのレセプター遺伝子の遺伝子多型を、800名規模の患者-対照研究により集中的に解析することによって、子宮内膜症の発生、進展に関与する遺伝子群を同定することを目的としている。 子宮内膜症ではnatural killer(NK)細胞活性の低下が知られている。昨年度はそのレセプターであるkiller immunoglobulin-like receptor(KIR)の遺伝子多型について解析した。標的細胞である子宮内膜組織にはHLAが発現している。KIRと対応するHLAリガンドとの組み合わせで分析すると、抑制性遺伝子型であるKIR3DL1^+/3DS1^-/HLABw4^+が、子宮内膜症群で有意に多かった。さらに、KIR3DS1、KIR3DL1/HLABw4、およびKIR2DL1/HLA-Cグループ2の有無により8群に分類し、これを活性化、中立性、抑制性の3群の遺伝子型に大別したところ、活性化遺伝子型群の頻度が子宮内膜症群で有意に少なく、かつ抑制性遺伝子型群の頻度が子宮内膜症群で有意に多かった。以上より、抑制性KIR/HLA-クラスI遺伝子型、およびHLA-B7の頻度が子宮内膜症患者で有意に高いことが明らかとなった。これらがNK活性を抑制することから、KIRおよびHLAの遺伝子多型が子宮内膜症の疾患感受性に関連している可能性が示唆された(Kitawaki Jet al. Am J Reprod Immunol, 2007)。
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Research Products
(4 results)