2007 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科癌浸潤転移現象におけるホメオボックス遺伝子メチル化制御機構の解析
Project/Area Number |
19591919
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山下 剛 Asahikawa Medical College, 医学部, 准教授 (30271787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 英人 旭川医科大学, 医学部, 助教 (20359491)
西脇 邦彦 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90419218)
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Keywords | DLX / ホメオボックス / メチル化 |
Research Abstract |
本年度はDLX1の卵巣癌における発現状況の詳細を検討した。すでにDLX1は現在までの検討で成人正常卵巣組織には発現していないことが確認されており、パイロット実験で卵巣癌細胞株1株で発現が認められている。そこで組織型別に詳細に検討するために卵巣癌細胞株cavo-3,skov-3,ovca-3,kuramochi,caov-4の5株を用いてDLX1の発現検索を行ったところskov-3のみに発現が認められないことが判明した。skov-3は漿液性腺癌由来の癌細胞株であるため、実際の患者からの癌組織献体を用いてさらに詳細に検討した。患者から供与の許可を得た漿液性腺癌組織5検体、類内膜腺癌組織4検体、粘液性腺癌組織6検体、明細胞腺癌検体3検体を用いてDLX1の発現を比較検討した。漿液性腺癌検体では癌細胞株同様に実際の検体でも1例も発現が認められなかった。一方、粘液性腺癌では6検体中4検体、明細胞腺癌では3検体中1検体に、類内膜腺癌では4検体前例にDLX1の発現が認められた。現時点ではDLXの発現が卵巣癌の癌化の発生伸展にどのように関与しているかは不明であるが、漿液性腺癌が他の組織型の卵巣癌と異なり急速進展であり、発見時3期以上であることが大多数であることから漿液性腺癌の実態が腹膜由来の腹膜癌であると最近いわれているように、漿液性腺癌とそれ以外の卵巣癌の臨床的な違いを説明するーつの分子マーカーである可能性があると思われた。このことは可能性として漿液性腺癌以外の卵巣癌が良性-悪性のシーケンスからなる時系列で説明できることを意味しており、これらの一連の悪性化の進展機序にDLX1が関与していることを示唆すると考えられた。なお現在DLX1のメチル化および卵巣癌のメチル化酵素の発現レベルの検討、および残されていたHOX遺伝子の子宮頸癌における発現異常の検討を行っているところである。
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