2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスの上皮性腫瘍発生モデルを用いた新たな癌治療戦略の開発
Project/Area Number |
19591927
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
中村 隆文 Kawasaki Medical School, 医学部, 准教授 (20303969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 滋 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (30175351)
山本 博 富山大学, 生命科学先端研究センター, 准教授 (00108797)
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Keywords | SV40T抗原 / トランスジェニックマウス / p53 / pRB / 十全大補湯 / 補中益気湯 / 小柴胡湯 / 水晶体腫瘍 |
Research Abstract |
【目的】1. SV40T抗原により発生した腫瘍に対する遺伝子治療の可能性を検討する。2.漢方治療が癌発生・増殖進展・転移に影響するか検討する。【方法】我々は水晶体上皮にSV40T抗原を特異的に発現するαT3マウスを作製した。またヒト野生型p53遺伝子とヒト野生型pRB遺伝子を同様に水晶体上皮に過剰発現するW1とpRBマウスを作製した。αT3マウスとW1およびpRBマウスとの交配実験を行いαT3/W1、αT3/pRB、αT3/W1/pRBマウスを作製し、その腫瘍の発生・増殖・進展を観察した。十全大補湯、補中益気湯、小柴胡湯を用いて1.5%混飼を作製して各漢方薬をαT3マウスに長期間投与した場合のαT3マウス腫瘍の増殖進展や担癌マウスの寿命について検討した。【成績】1)ヒト野生型p53を導入したαT3/W1マウスは腫瘍にアポトーシスを誘導してその増殖・進展を抑制したが、数ヶ月後に再発した。しかしヒト野生型p53とpRBの遺伝子同時導入したαT3/W1/pRBマウスは約1年間腫瘍の増殖・進展を抑制することができた。2)αT3マウスに漢方3剤の各混飼を生後4週より死亡するまで持続投与すると漢方3剤とも各投与群ではαT3マウス腫瘍の増殖進展は抑制され、8〜10週間の延命効果があった。【結論】p53とpRBの遺伝子同時導入は腫瘍発生、増殖および進展を長期にわたり抑制できる可能性がある。漢方3剤ともにマウス未分化上皮性腫瘍の増殖進展の抑制効果があり、また延命効果も確認できた。これらの漢方3剤はそれぞれ異なった機構でNK細胞やマクロファージの抗腫瘍活性と腫瘍進展促進活性のバランスを微妙に調節して、担癌マウスに抗腫瘍効果を発揮している可能性を示唆した。
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Research Products
(1 results)