2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜癌において新たに同定されたlipocalin2過剰発現の機能解析
Project/Area Number |
19591929
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩沢 丹里 Shinshu University, 医学部, 准教授 (20235493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 強 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (70418721)
小西 郁生 京都大学, 医学部, 教授 (90192062)
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Keywords | 子宮内膜癌 / lipocalin 2 / 増殖 |
Research Abstract |
我々は子宮内膜組織におけるlipocalin2の発現の意義を検討するために、子宮内膜組織における発現とその臨床病理学的意義を解明した。その結果、正常子宮内膜では分泌期と比較して増殖期に優位に染色が観察され、さらに増殖症、内膜癌と病変が進展するにしたがって発現が増強していることを確認した。また内膜癌のなかでは、組織学的に低分化型癌により強く発現がみとめられた。しかし、患者の生存とは明らかな相関が認められなかった。また、従来分泌蛋白として細胞質に存在するといわれていたlipocalin2が核内にも観察された。これを確認するために、培養正常子宮内膜腺上皮および内膜癌細胞におけるlipocalin2の発現を蛍光免疫組織学的に検討したところ、やはり核分画に発現が認められ、lipocalin2の新しい機能が示唆された。今回の検討で、lipocalin2が内膜病変の進行に従って発現が増強したことから、lipocalin2が一種の癌遺伝子として作用している可能性がある。この可能性を検討するために、lipocalin2発現ベクターをマウスNIH3T3細胞に導入し形質転換能を検討したところ、細胞のtransformは確認できなかったが、細胞の扁平化と細胞生存の延長が認められたことから、癌遺伝子的性質の獲得とは矛盾しないと考えられた。 次に子宮内膜癌におけるlipocalin2の発現増強の機序を検討するために、メチル化特異的PCR法によって正常内膜および内膜癌におけるlipocalin2遺伝子のプロモーターのメチル化を検討した。その結果、正常内膜腺上皮と比較して子宮内膜癌におけるlipocalin2のプロモーター上の脱メチル化が観察され、これが発現増強に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)