2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜癌において新たに同定されたlipocalin2過剰発現の機能解析
Project/Area Number |
19591929
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩沢 丹里 Shinshu University, 医学部, 教授 (20235493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 強 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (70418721)
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Keywords | 子宮内膜癌 / lipocalin 2 / 増殖 |
Research Abstract |
我々は子宮内膜癌の発生機序を調べるために、正常内膜、前癌病変である子宮内膜増殖症、内膜癌の間で発現が増強している分子をマイクロアレイ解析で探索した結果、鉄イオンの輸送などに関わるとされるlipocalin 2を同定した。内膜組織におけるlipocalin 2の発現を免疫染色によって検討した結果、正常内膜から増殖症、内膜癌と病変が進行するにしたがって発現が増強しており、内膜癌のなかでは低分化型癌に強い発現がみられた。加えて従来分泌蛋白として細胞質に存在するといわれていたlipocalin 2の核内発現も観察された。lipocalin 2発現が癌化に伴って増強したことから、癌遺伝子としての可能性をNIH3T3細胞を用いて検討したところ、明らかな癌化能は確認できなかったものの細胞生存の延長が認められた。内膜癌におけるlipocalin 2の発現増強の機序を検討するために、lipocalin 2遺伝子のプロモーターのメチル化を検討した結果、子宮内膜癌におけるlipocalin 2のプロモーター上の脱メチル化が観察され、これが発現増強に関与している可能性が示唆された。さらに内膜癌におけるlipocalin 2の増殖能と浸潤能に対する作用を明らかにするために、lipocalin 2遺伝子を導入した内膜癌細胞を用いてWST-1アッセイとMatrigel invasionアッセイを施行したところ、遺伝子導入によって増殖能には著変がみられなかったが浸潤能は増加していた。これらの結果から、正常子宮内膜が癌化していく過程において、lipocalin 2発現が増強し、これが内膜癌の細胞学的悪性度を高めているというメカニズムがあることを新たに明らかにした。また、この結果はlipocalin 2が子宮内膜癌の新たな分子標的になる可能性を示した。
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Research Products
(3 results)