2007 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌・腹膜癌を標的とした新規がんウイルス療法の開発
Project/Area Number |
19591930
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那波 明宏 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90242859)
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス療法 / carrier cell / 卵巣癌腹膜播種病変 / 抗腫瘍性増強 |
Research Abstract |
卵巣癌は進行症例が多く、特に腹膜播種病変に対しては化学療法に頼らざるをえない。さらに、癌が薬剤耐性を獲得した後の再発には有効な治療手段がないため、腫瘍溶解性ウイルス療法はその-翼を担うものである。しかし広範囲な腹腔内ヘウイルスを投与する場合、局所投与とは異なった投与法の開発が必要であろう。我々はヒト大網中皮細胞をcarrier cellとして用い、腫瘍溶解性ウイルスの効率のよい投与法を開発するため、まずin vitroで検討した。抗腫瘍効果が報告されているHSV1 HF10を用いて、carrier cellとなるヒト大網中皮細胞およびヒト卵巣癌由来SKOV3でのウイルス増殖を検討した。次にHF10のUL39欠損弱毒株であるHh101を用いてウイルス直接およびウイルス感染細胞をそれぞれ単層培養したSKOV3上に加えた場合のウイルス増殖および細胞の生存実験を行った。両ウイルスとも、ウイルスを直接感染させた群に比べて、感染細胞群ではSKOV3に約6時間早く強い細胞変性効果が認められた。Hh101の場合、感染24時間目の培養上清中の放出ウイルス量は、ウイルス直接感染群に比べて、ウイルス感染細胞群では300倍のウイルス量を示した(2X10^2 vs 6X10^4 pfh/ml)。Hh101ウイルス液或いはHh101感染carrier cell腹腔内治療モデルにおいて抗腫瘍効果を検討したところ、治療後21日目でのウイルス感染carrier cell投与群において明らかな腫瘍量の減少が認められており(Mann-Whitney U-test, p<0.05)抗腫瘍性をより増強させる手段になり得ることが示唆された。
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Research Products
(3 results)