2008 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌・腹膜癌を標的とした新規がんウイスル療法の開発
Project/Area Number |
19591930
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
那波 明宏 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90242859)
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Keywords | ウイスル療法 / HSV HF10 / HSVアンプリコン / GM-CSF / Carrier Cell / 大網中皮細胞 / アバスチン / VEGF |
Research Abstract |
前回科研費期間内に達成できなかった他のHF10-HSVアンプリコン発現系での抗腫瘍効果について検討を加えた。mGM-CSF発現HSVアンプリコンを作製し、マウスallograftの系での抗腫瘍効果を検討した。HF10単独治療群にくらべ、HF10+mGM-CSFアンプリコン治療群は明らかな延命効果があり、病理検索では、投与局所における免疫細胞の浸潤亢進を認めた。さらに、野生株に比べHF10のクリアランスの早さ(投与3日目で消失)と腫瘍に限局した増殖性を確認している。Carrier cellを選定するために各種細胞を用い、HF10のreplicationを指標に検討したが、大網中皮細胞でのreplicationが極めて良く、SKOV3細胞にCarrier cellとして当価のウイルスを感染させた場合、直接感染させた場合に比べ、48h後の培養中のtotalウイルス量は約300倍であった。この細胞がCarrier cell、即ちウイルス産生工場としての役割を果たすことが示唆された。なお、この件に関して、国内特許を取得した【腹腔内腫瘍病変の治療又は予防用の医薬組成物特願2007-169020名古屋大学知的財産部(2007)】。卵巣癌腹膜播種に伴う癌性腹水中には、大量のVEGFが産生されている。ウイルス療法に対する、血管新生阻害薬であるアバスチンの効果を現在検討中であるが、判明している実験内容を以下に記載した。アバスチンはin vitroにおいて、10μg/mlの濃度では、ウイルスの産生に影響を与えなかった。さらに、VEGF高産生ヒト胃癌細胞株であるMKN45をヌードマウス皮下移植し、30日後、ウイルス及びアバスチンを週2回(hrR3:10^7pfu/回;アバスチン:0.1mg/body/回)2週にわたって治療を行った。治療後17日までの経過では、両治療群においてのみ、治療前体積に対して腫瘍の縮小を認めている。
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Research Products
(3 results)