2007 Fiscal Year Annual Research Report
LKB1遺伝子ノックアウトマウスを用いた子宮頸部腺癌発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
19591934
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
伊藤 昌春 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10136731)
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Keywords | 子宮頸部 / 腺癌 / LKB1 / 胃型 / 悪性腺腫 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
悪性腺腫は、非常に稀な粘液性腺癌であるが、非常に分化度が高いために診断に苦慮する疾患であるとともに、不良である。その発癌には、HPVの関与は否定的であり、腺腫様病変との関与を疑うものもあるが明らかではなく、LKB1遺伝子の関連が強いと考えられている。悪性腺腫は胃幽門腺型の粘液を産生することが知られているが、我々は胃幽門腺型の粘液を産生する腺癌は悪性腺腫に限らず、臨床病理学的にも悪性腺腫に類似し、通常の内頸部型粘液性腺癌に比して予後不良であること、HPV非依存性の発癌が関与している可能性が高いことを示した。 このような背景をもとに、悪性腺腫のみならず胃幽門腺型の形質を有する腺癌の発癌にはLKB1遺伝子変異が関与しているものと推察し、ノックアウトマウスを用いた解析をおこなうことで、LKB1遺伝子の子宮頸部腺癌発癌への関与を明らかにすることを目的とし、解析を開始した。予備実験においては、60週<の雌性LKB1遺伝子(+/-)マウス4匹中1匹において、子宮頸部に胃幽門腺型の粘液を産生する内頸部型粘液性腺癌が確認された。現在、40週までの雌性LKB1遺伝子(+/-)マウスとLKB1遺伝子野生型(+/+)姉妹マウスとを、それぞれ60匹程度にまで繁殖させており、今後、それぞれ120匹程度まで繁殖させ、順次、採取した組織より病理組織標本を作製して腫瘍の発生頻度を病理形態学的に解析するとともに、LKB1およびLKB1関連分子を分子生物学的手法により解析する予定である。 HPVワクチン導入後のHPV非依存性子宮頸癌への対応は、重要な課題である、特に、日本では子宮頸部腺癌におけるHPV感染率が低い可能性が指摘されており、その発癌メカニズムの解明は急務である。子宮頸部腺癌のモデルマウスは未だ存在しないことからも、本研究の意義は大きいものと考える。
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