2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚癌発癌過程とエピジェネティクスの変化:癌化予測および治療への応用
Project/Area Number |
19591937
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岩坂 剛 Saga University, 医学部, 教授 (60117067)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 佳史 佐賀大学, 医学部, 講師 (30336119)
城 圭一郎 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90124809)
|
Keywords | 子宮頸癌 / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / RAR β2 / エピジェネティクス / HPV陰性子宮頸癌 |
Research Abstract |
これまで、子宮頸癌発癌には、HPV感染が重要な役割を果たしていることが報告されてきた。さらに、病変の進展には、検出されるHPVの型およびHLA classIIの違いが関係していることも報告されている。 本研究では、エピジェネティクな変化という観点から、子宮頸部病変の進展のリスクを検索することを目的とした。 子宮頸癌における癌抑制遺伝子であるレチノイン酸レセプターβ2(RARβ2)の発現低下の機構を明らかにするため、子宮頸癌細胞株および子宮頸癌組織におけるRARβ2の発現および同遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化およびヒストン修飾の状態を解析した。その結果、浸潤子宮頸癌組織および頸癌細胞株では、DNAのメチル化により、RARβ2のプロモーター領域の発現低下が高頻度に認められた。 ほとんどのRARβ2陰性の頸癌ではメチル化が認められたが、メチル化が見られないにもかかわらずRARβ2の発現低下が見られる一群が観察された。こうしたメチル化が起こっていないRARβ2陰性の頸癌では、プロモーター領域のヒストンの修飾が観察された。こうした頸癌では、ヒストンの脱アセチル化阻害剤を作用させることによりRARβ2の発現が再活性化した。加えて、メチル化も起こっている頸癌もあるが、こうした頸癌のRARβ2発現を再活性化するために、DNAの脱メチル化剤は有効であったが、ヒストンの脱アセチル化阻害剤は無効であった。結論として、RARβ2の発現低下には、DNAのメチル化およびヒストンの修飾といった2つの主要なエピジェネティクな経路が考えられる。 さらに、HPV DNAの存在とRARβ2発現との関係をみると、HPV陰性の子宮頸癌細胞株では、すべてRARβ2の発現がみられ、その癌化過程にRARβ2のエピジェネティクな変化が関係していない可能性を示している。
|
Research Products
(2 results)