Research Abstract |
選択的エストロゲン受容体調節薬の子宮内膜間質および平滑筋における造腫瘍能の解析のために,正常子宮内膜,ポリープ,子宮内膜癌,タモキシフェンに関連したポリープ,子宮内膜癌について免疫組織学的な検討を進めている。SWI/SNFクロマチン再構成複合体の主要な構成単位の一つであり,estrogenreceptor(ER)を介し転写を調節することが報告されているBrg1-associated factor57(BAF57)の蛋白質発現について,2006年10月より2007年12月までに,増殖初期5例,増殖中期7例,増殖後期3例,分泌期初期から中期6例,分泌後期7例,Arias-Stella反応5例,ピル内服内膜3例,子宮内膜癌15例を免疫組織学的に検討した。本研究は当大学倫理委員会の承認を受けている。BAF57は腺上皮では,核より細胞質に強く発現を認めた。月経周期では増殖初期では発現は弱く,増殖後期に向けてその発現は上昇し,分泌後期で強い発現を認めた。間質細胞は増殖期初期より,核に染色され,増殖中期から分泌期にかけてその発現が増強した。分泌期後期で偽脱落膜反応を起こしている部分では,核と共に細胞質にも染色された。Arias-Stella反応腺上皮は細胞質に強染し,脱落膜では核と細胞質共に強染した。子宮内膜癌では核,細胞質とも発現を認めた。この結果の一部は第44回日本婦人科腫瘍学会での発表を予定している。また間質系腫瘍との関係が指摘されているHMGB1またその関連蛋白質の発現についても検討し,第60回日本産科婦人科学術講演会に発表する。平成20年2月9日11th BREAST CANCER UP-TO-DATE Meeting(神戸)にてタモキシフェンに関連した子宮内膜癌の発症についての演題で講演を行った。
|