2009 Fiscal Year Annual Research Report
周波数変換帯域雑音音声を用いた人工内耳聴覚に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19591954
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川瀬 哲明 Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 教授 (50169728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 修一 電気通信研究所, 助教 (60332524)
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Keywords | 劣化雑音音声 / 人工内耳 / 聴覚リハビリテーション / 聴性定常状態反応 |
Research Abstract |
本研究では、人工的電気刺激聴覚、特に、人工内耳聴覚を模擬した「周波数変換帯域雑音音声」を作成し、音声の情報伝達改善に伴い観察される適応過程やそれに影響を与える因子について健聴者を対象に検討する。本年度は3年計画の3年目に当たる。 (1)人工聴覚模擬音声の聞き取りに影響を及ぼす作成音声の条性に関する検討 昨年度までの研究で、高周波数領域に圧縮した周波数劣化雑音音声に対する聴覚トレーニングによる聞き取りの改善が、トレーニング方法によって異なること、すなわち、言葉の聴覚情報のみを用いて聞き取りトレーニングを行うより、言葉の視覚情報を同時に提示して行うほうが、劣化雑音音声に対する聞き取りが有意に改善することを示した。 本年度は、昨年に続き、言葉の聞き取りがより改善しえる人工聴覚の音声入力の条件を検討すべく、周波数変換帯域雑音音声の作成条件を変化させ、その影響を観察した。その結果、基本的には、a)抽出した音声包絡情報の周波数帯域と埋め込む側の周波数帯域が著しく乖離しないこと、b)抽出音声情報を一定にし、埋め込まれる周波数帯域を低音域、中音域、高音域間で比較すると、低周波数が一番成績が不良(語音明瞭度の改善が不良)であること、が明らかになった。 (2)脳磁図による聴覚機能の評価 昨年度に続き、音声知覚の重要な要素である時間情報の脳内処理と深く関係した振幅変調音(AM音)に対する大脳皮質反応を検討した。その結果、AM音に対する脳内処理は、a)右半球優位であること、b)AM音に対する定常状態反応(auditory steady state response : ASSR)により、神経情報伝達の同期性の評価が可能であること、c)抑制的な両耳相互作用を認めるが、抑制の大きさにも半球間で左右非対称があること、が明らかになった。
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Research Products
(4 results)