2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子異常モデルマウスを用いた内耳血管条障害の解析と保護作用
Project/Area Number |
19591963
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽根 三千彦 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30273238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 務 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30180277)
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Keywords | 蝸牛 / 血管条 / メラニン / 加齢 |
Research Abstract |
本研究ではメラノサイト及びメラニンの増殖・産生に関連した遺伝子異常モデルマウスを用いて内耳血管条障害の解明に際して、加齢による内耳メラニンの変化について検討を行った。メラニン量は加齢に伴い変化することが知られているが、加齢における蝸牛内の変化はこれまで検討されていなかった。高速液体クロマトグラフィーを用いて10週齢と100週齢のC57BL/6マウスの蝸牛内ユーメラニンとフェオメラニンの定量を行った。また、透過型電子顕微鏡を用いて同マウスの蝸牛血管条の観察を行った。その結果、蝸牛内ユーメラニンとフェオメラニン量の平均値は、100週齢の方が10週齢マウスに比較し高値であり、特にユーメラニン量が顕著に高い傾向を示した。透過型電子顕微鏡による観察では100週齢マウスの辺縁細胞内により多くの色素顆粒が認められた。 一般にユーメラニンは有毒な活性酸素を取り込み、その毒性を弱める作用があり、一方でフェオメラニンは、むしろ活性酸素を産生する作用があるとされる。生体内における活性酸素の主な産生源はミトコンドリアである。血管条は特にこのミトコンドリアが豊富であることで知られ、この部位においてもユーメラニンの持つ活性酸素の解毒化作用が期待される。本検討で示した加齢に伴う蝸牛ユーメラニン量の優位な増加は、ユーメラニンによる活性酸素の解毒作用を介して、蝸牛の加齢変化に対し保護的な役割を果たす可能性あると考えられた。
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Research Products
(2 results)