2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子異常モデルマウスを用いた内耳血管条障害の解明と保護作用
Project/Area Number |
19591963
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
曽根 三千彦 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30273238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 務 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30180277)
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Keywords | 蝸牛 / 血管条 / メラニン / 加齢 |
Research Abstract |
ミッドカイン(MK)とプレイオトロフィン(PTN)遺伝子double knockout(DKO)マウスにおいて蝸牛蓋膜の非コラーゲン蛋白であるβ-tectorinの発現の消失と聴力閾値上昇を確認している。一方、MK, PTNの発現はWild-type(WT)マウスの血管条にも認められたことから、血管条に焦点をしぼって遺伝子欠損マウスにおける障害を解析した。生後8週齢のWild-type(WT), MK knockout(MKKO)、PTN knockout(PTNKO)、double knockout(DKO)の各マウスを用い、ABR測定、径0.5mmのマウス用レーザードップラープローブにて蝸牛血流測定、内耳を光顕および透過電顕にて形態学的な変化の有無を観察した。今回は血管条中間細胞の機能的指標としてカリウムチャンネルで中間細胞のマーカーであるKir4.1抗体を用いて免疫組織染色を追加した。 Kir4.1の発現はWTマウスに比し、KOマウスで低下していた。MKKOとPTNKOマウスを比較するとPTNKOマウスでより低下を認め、ABRの閾値上昇率の関係と一致していた。MKとPTNは相補的な役割を果たしているが、PTNはメラノーマ細胞に強く発現し、メラノーマの転移において血管新生促進因子として関与している事が報告されている。血管条中間細胞はメラニンを含みメラノサイトと考えられており、MKKOマウスに比しPTNKOマウスによりカリウムチャンネルを指標とした中間細胞の低下が確認されたことは興味深く、中間細胞がメラノサイトである事を示す所見といえる。PTNKOマウスの聴力閾値がMKKOマウスの閾値より高値である結果と併せて、PTNが血管条においてMKより主導的な役割を果たしている事を示唆する所見が得られた。
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