2007 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛培養による聴覚関連遺伝子発現の網羅的検討-薬物治療モデルを中心に-
Project/Area Number |
19591969
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福島 邦博 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50284112)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸英 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00423327)
|
Keywords | 薬理作用 / 糖質コルチコイド / 突発性難聴 / 蝸牛 / マイクロアレイ / 内耳 / 難聴 / 治療 |
Research Abstract |
【はじめに】糖質コルチコイドは急性感音難聴の治療に広く用いられているが、内耳におけるその作用機序はまだ明らかにされていない。今回の研究では、培養蝸牛組織において、糖質コルチコイドによる発現制御をうけている遺伝子を同定して、糖質コルチコイドによる難聴治療の理論的根拠を確定し、新しい遺伝子治療のターゲットを検索しようと考えた。 【研究方法】胎生15日のBALB'Cマウスの胎児から蝸牛組織を剖出し、48時間培養した。Dexamethsone 500mg/ml存在下と非存在下で培養を行い、トータルRNAを抽出、DNAマイクロアレイとの反応過程を二回繰り替えして行った。反復施行によって共通して発現量に変化が見られた遺伝子を同定した。これらの候補遺伝子についてはリアルタイムRT-PCRによる検討も行い、遺伝子発現量の変化を確認した。 【研究結果】Dexamethsone投与によって発現量が3倍以上または3分の1以下となった遺伝子として次の様なものがあげられた。1)FK506 binding protein 5 2)3)Glucocorticoid-induced leucine zipper protein.4)glutathione peroxidase 3 5)claudin 10他の遣伝子が同定された。 【考察】上記の遺伝子産物のうち特に、FK506 binding protein 5は免疫抑制剤のFK506と結合し、その活性を阻害するが、近年、FK506によって感音難聴が引き起こされることが報告されている。さらに、glutathione peroxidase3 はglutathioneの抗酸化作用を触媒する酵素であるが、内耳へのDexamethsone局所投与によりglutathione合成が誘導されることがラット内耳で示されている。こうした遺伝子の発現は直接・間接に聴力に影響を与えることが想定され、作用の一部を担っている可能性がある
|
Research Products
(1 results)