2007 Fiscal Year Annual Research Report
上気道アレルギーにおけるプロスタグランジン代謝の解析と新規診断・治療法の開発
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19591971
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡野 光博 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60304359)
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Keywords | プロスタグランジン / CRTH2 / エンテロトキシン / サイトカイン / ケモカイン / トロンボキサン / スギ花粉症 / 鼻茸 |
Research Abstract |
(1) 副鼻腔粘膜におけるサイトカイン・ケモカイン産生におよぼすPGD2およびPGE2のin vitro作用 慢性副鼻腔炎患者の手術時に得られた鼻茸を酵素処理し、鼻茸細胞を単離した。鼻茸細胞をSEBにて刺激し、培養上清中のIL-5、IL-13、RANTESおよびeotaxinを測定した。鼻茸細胞はSEB刺激に対してIL-5、IL-13、RANTESの有意な産生を示した。これらの産生はCOX阻害薬による前処置によって有意に増強された。PGE2の添加はIL-5、IL-13、RANTES産生を濃度依存性に抑制したこと。以上の結果より、鼻茸細胞からの好酸球性炎症関連サイトカイン産生の誘導には、COXにより代謝が誘導されるPGE2が抑制的に作用する可能性が示唆された。 (2) マウススギ花粉症モデルにおけるCRTH2の役割 CRTH2ノックアウトマウスにおけるスギ花粉症の病態を野生型と比較検討した。野生型マウスでみられたくしゃみ回数、鼻かき回数、Cry j1特異的IgE産生、鼻粘膜内好酸球浸潤、頸部リンパ節細胞からのIL-4/IL-5産生は、CRTH2ノックアウトマウスで有意に抑制された。さらに野生型マウスをCRTH2アンタゴニストで処理すると、CRTE2ノックアウトマウスでみられた病態変化と同様な変化を認めた。以上の結果は、スギ花粉症においてCRTH2はPro-inflammatoryな作用を示すことを示唆している。 (3) 副鼻腔粘膜におけるTXA2、PGI2、PGF2・合成酵素発現の解析 鼻茸におけるTXA2、PGI2、PGF2・合成酵素の発現を免疫染色にて検討し、さらにmRNA発現量をリアルタイムPCRにて定量し、臨床徴候(CTでの重症度、好酸球浸潤、喘息の有無など)との関連を解析した。これらの合成酵素は主に浸潤細胞や腺、血管内皮に発現していた。CTでの重症度、好酸球浸潤とこれらの合成酵素量は有意な相関を認めなかったが、喘息患者ではPGI2合成酵素量が有意に低下しており、PGI2代謝も好酸球性炎症に関与する可能性が示唆された。
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