2008 Fiscal Year Annual Research Report
上気道アレルギーにおけるプロスタグランジン代謝の解析と新規診断・治療法の開発
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19591971
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡野 光博 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60304359)
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Keywords | プロスタグランジン / PGD2 / PGE2 / DP / CRTH2 / EP / サイトカイン / 慢性副鼻腔炎 |
Research Abstract |
(1)副鼻腔粘膜におけるサイトカイン・ケモカイン産生におよぼすPGE2のin vitro作用手術時に得られた鼻茸を酵素処理し、鼻茸細胞(Dispersed nasal polyp cells:DNPC)を単離した。DNPCをSEBにて刺激する際、PGE2およびPGE2受容体であるEP1〜EP4に選択的なアゴニストを単独あるいは複合して添加し、サイトカイン産生の変化を検討した。PGE2の添加はDNPCのSEB刺激に対するIL-5、 IL-13、 RANTES産生を濃度依存的に有意に抑制した。EP2アゴニストの単独添加は全てのサイトカイン産生を有意に抑制した。以上より、慢性副鼻腔炎においてSEBは好酸球性炎症に関わるサイトカインの産生を誘導し、その産生にはPGE2がおもにEP2を介して抑制的に作用する可能性が示唆された。 (2)副鼻腔粘膜におけるPGD2受容体の発現とその臨床的意義 鼻茸と鉤状突起粘膜におけるDPおよびCRTH2のmRNAの分布と発現量を検討した。さらにIL-5、eotaxin、RANTES、PGD2合成酵素(PGDS)発現量との関係について検討した。DP mRNAは浸潤している炎症細胞のみならず上皮細胞などに広く発現しており、鼻茸において有意に発現が強かった。一方CRTH2 mRNAは主に炎症細胞や一部の腺細胞に発現しており、鼻茸において有意に発現が低下していた。DP mRNAとeotaxin、PGDSのmRNA発現量との間には有意な正の相関がみられ、逆にCRTH 2mRNAとIL-5、 eotaxin、 PGDSのmRNA発現量との間には有意な負の相関がみられた。以上よりDPとCRTH2の発現はPGDSや好酸球関連のサイトカインによって制御され、これら2つの受容体は、鼻茸形成などを含めた慢性副鼻腔炎の病態において異なった役割をしていることが示唆された。
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