2008 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌患者の術後嚥下機能と加齢による悪化に対する統合的研究
Project/Area Number |
19591988
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
肥後 隆三郎 Saitama Medical University, 医学部, 准教授 (10301110)
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Keywords | 頭頸部腫瘍 / 手術 / 嚥下機能 / VF / 嚥下圧測定 |
Research Abstract |
本年度は頭頸部癌患者において腫瘍切除と欠損に対する再建を施行された後の嚥下機能の評価を検討した。Videomanofluorograpphy (VF)による検討に加え、嚥下圧測定を導入し定性的検査のみならず定量的検査による客観的評価に基づいた検討を行い、正常嚥下パターンと異常嚥下パターンの差違、癌切除部位による嚥下機能の変化について検討した。嚥下圧はステーション法により中咽頭、下咽頭、食道入口部において測定を行った。同時にVFを施行し、透視によりプローブの位置が正しいことを確認し、かつ従来のVFによる嚥下機能評価を加えた。機能評価のポイントは口腔期:(1)舌運動、(2)食塊の移送、(3)食塊の保持、咽頭期:(1)軟口蓋の挙上、(2)舌根運動、(3)咽頭の収縮(同時に圧測定)、(4)喉頭挙上、(5) poolingの有無、(6)声門閉鎖、(7)食道入口部の開大(VF所見)、(8)食道入口部の弛緩(圧測定)、(9)誤嚥の有無である。食道期については今回は検討課題に含めなかった。その結果、嚥下圧測定により、下顎骨を広範に区域切除し硬性再建が施行できず腹直筋のみによる再建を施行した症例では、中咽頭嚥下圧が正常と比較し低下していた。これに対し口腔底癌で浸潤により下顎骨区域切除を行った症例で、チタンプレートによる硬性再建が可能であった症例では中咽頭嚥下圧は正常範囲内を保っていた。硬性再建されない症例では本来下顎骨がもたらすはずの安定性が欠如することが中咽頭圧の低下につながることが示唆された。
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