2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌患者の術後嚥下機能と加齢による悪化に対する統合的研究
Project/Area Number |
19591988
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
肥後 隆三郎 昭和大学, 医学部, 准教授 (10301110)
|
Keywords | 頭頸部癌 / Videofluorography / 嚥下圧測定 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
頭頸部癌患者の術後嚥下機能評価としてVideofluorography(VF)、嚥下圧測定を施行し、各嚥下期における機能の特定と評価を行った。下顎骨を広範に区域切除し硬性再建が施行できず腹直筋のみによる再建を施行した症例では、中咽頭嚥下圧が正常と比較し低下していた。これに対し口腔底癌で浸潤により下顎骨区域切除を行った症例で、チタンプレートによる硬性再建が可能であった症例では中咽頭嚥下圧は正常範囲内を保っていた。VFによる検討では喉頭挙上が多くの症例で障害されていた。硬性再建されない症例では本来下顎骨がもたらすはずの安定性が欠如することが中咽頭圧の低下につながり、喉頭挙上障害の元での誤嚥のリスクが高まることが示唆された。中咽頭がん患者では、中咽頭嚥下圧は平均28mmHgと著明低下していた。下咽頭圧は平均95mmHgであり正常コントロールと比較し遜色のない結果であった。中咽頭嚥下圧はVFで観察された舌根機能および咽頭収縮能とよく相関し、VFにおける舌根運動低下および咽頭収縮能不良症例では中咽頭嚥下圧は低下する。これにより、VF所見で中咽頭嚥下圧は予測可能と考えられた。下咽頭嚥下圧は下咽頭クリアランス能を反映していると考えられるが、今回の検討ではVF所見との相関は得られず、下咽頭機能の評価にはVFのみでは不十分であり、下咽頭嚥下圧が保たれている症例で経口摂取良好となる症例があることより、正しい評価には嚥下圧測定が必要であると考えられる。また、VF上みられるUES開大とUESの弛緩は相関せず、UES機能の評価には圧測定が必要であると考えられた。下咽頭部分切除後の症例では食道入口部(UES)の弛緩が持続的に得られた症例で嚥下にプラスとなる結果が得られ、舌根機能の維持できている症例ではUESのピンチコック機能を消失させることが有用と示唆される結果であった。
|