2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工中耳粘膜移植とドラッグデリバリーシステムの融合による新しい鼓室形成術式の研究
Project/Area Number |
19591990
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小島 博己 Jikei University School of Medicine, 医学部, 准教授 (60234762)
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Keywords | 鼓室形成術 / 中耳粘膜 / 再生 / 培養 |
Research Abstract |
中耳真珠腫や癒着性中耳炎に対する鼓室形成術の成否は術後の鼓室腔および乳突腔における粘膜の上皮化に依存している。従来の術式では術後粘膜の上皮化が期待できない場合も多く、術後成績には限界がある。そこで術中に患者本人の粘膜組織から作成した三次元人工粘膜を移植することにより、術後の粘膜再生を促進し、鼓膜の再癒着を防止と有効な鼓室腔を作成することを目的とした研究を行っている。 昨年度は白色家兎とマウスによる三次元人工粘膜の作成に成功し、組織学的にも機能的にも正常粘膜に非常に類似したものであることを確認した。 またヒトにおいても三次元培養による人工粘膜を作製し、組織学的な検索を行った。その結果、ヒト人工粘膜を作成することできたが、繊維芽細胞の混入も多く、まだ満足のいく粘膜を作成できる状態ではなかった。このため現在さらなる検証を行ない、臨床の使用に耐えられる粘膜の作成を続けている。一方、組織中の粘膜上皮由来であるムチン産生に関して、免疫染色やRT-PCRにてMUC1〜4、MUC5ACの発現などの確認をおこなっており、また電顕的にも正常中耳粘膜との相違の有無についての観察を行っている。 加えて昨年度は将来の移植に備えて移植に必要となる粘膜組織の採取量についての検討をおこなった。すなわち採取量と三次元人工粘膜の作製に要する時間および作製される大きさなどについて条件を変えながら詳細に検討し、最適な条件を模索している。このことは必要十分な粘膜の採取量と手術までの期間を決定するのに重要と考える。また正常中耳粘膜以外からの組織を用いた粘膜の再生実験も動物を用いて行っている。
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