2008 Fiscal Year Annual Research Report
弛緩部型中耳真珠腫の発症・進展機序の解明と予防・治療に関する研究
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19591991
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
森山 寛 Jikei University School of Medicine, 医学部, 教授 (60125036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 博己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60234762)
志和 成紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20235766)
田中 康広 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40266648)
吉川 衛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50277092)
内水 浩貴 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00307414)
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Keywords | 弛緩部型真珠腫 / 粘膜再生 / 遺伝子解析 / ガス換気能 / 耳管機能 |
Research Abstract |
臨床病態の解析を継続的に行った。今年度での手術所見などの臨床所見からも、従来から指摘している我々の真珠腫の成因(炎症による表皮細胞の増殖・分化、ならびに表皮下組織の障害など)を肯定する所見が得られた。手術の工夫にしても、遺残性再発に対しては、内視鏡を術中に使用することにより効果があがり、再形成性再発に対しては、薄い軟骨片による鼓膜形成や鼓室形成術も有る程度の効果のあることが理解できた。 真珠腫上皮のモデルとして培養表皮細胞を用いて細胞周期関連物質であるcdk2(cyclin dependent kinase2)、cdk4の発現を調べると、IL-1αとKGFの刺激によりその発現が充進することがわかった。これまでの研究結果と併せて考えると、真珠腫では上皮下の炎症によりIL-1αやKGFをはじめとする各種の炎症性サイトカインの発現が亢進し、その影響を受け表皮細胞におけるcdk2、cdk4がup-regulateされ表皮細胞の増殖を来たすと考えられた。 20年度は白色家兎の中耳粘膜および鼻粘膜から温度応答性感受性皿を用いた粘膜細胞シートを作成し、組織学的検討を行った結果では、中耳粘膜細胞シートおよび鼻粘膜細胞シートは正常中耳粘膜とほぼ同等の構造を呈した。すなわちH-E染色では単層の粘膜上皮と線維芽細胞を含む上皮下の構造が認められ、上皮のマーカーであるサイトケラチンおよび上皮下組織のマーカーであるVimentinで免疫染色を行ったところ、各々適正な部位に発現を認めた。電子顕微鏡所見でも微絨毛が観察され、正常粘膜組織に近似した構造を呈した。 この結果をもとに動物実験を進めている。
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