2007 Fiscal Year Annual Research Report
半規管内リンパ液カルシウムとpHの制御(半規管内に結石は生じうるか?)
Project/Area Number |
19591995
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
荒木 倫利 Osaka Medical College, 医学部, 講師 (20340557)
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Keywords | 内リンパカルシウムイオン濃度 / 内リンパpH / 半規管 / イオン電極法 |
Research Abstract |
半規管内で結石などの浮遊物が生じることにより典型的な良性発作性頭位性めまいが発症することが臨床的には明らかとなっている。しかし、半規管内に解剖学的には耳石を産生する細胞はなく、半規管内の病的浮遊物は耳石器からの耳石の迷入によるとされている。良性発作性頭位性めまいの自然治癒傾向を考えると耳石の迷入であれ、半規管内で浮遊物が析出するのであれ、結石の主体と考えられる炭酸カルシウムの半規管内での代謝を明らかにする必要がある。 細胞外液であるにもかかわらず内リンパ液はK^+が高く、Na^+、Ca^<2+>が低い特殊な組成が維持されており、主な陰イオンとしてCl^-、HCO_<3^->が存在していることが明らかとなっている。内リンパには蛋白質、燐酸がほとんど含まれないことから、内リンパ液のpH安定化にはHCO_<3^->/CO_2系が緩衝系として働いているものと考えられる。一方、耳石の組成は炭酸カルシウムであることが知られ、その溶解度はpHと密接に結びついているものと考えられる。内リンパ内の炭酸カルシウムの析出、溶解の条件を検討するためpH、Ca^<2+>ならびにCO^2分圧を検討すべき対象と考えている。 現在の実験対象はアプローチの容易な水平半規管であり、水平半規管に対して外側から骨迷路を削開し半規管内リンパヘ電極を刺入する方法を用いている。半規管の内リンパも蝸牛と同様に正の電位を持つことが知られておりこれを指標に内リンパ内腔に電極を刺入した。今回の検討においても水平半規管の膨大部に刺入した場合、数mVから10mV程度の正の電位を認めた。 半規管別の違いなども検討すべき課題であり、今後は水平半規管以外の半規管の測定も検討したい。
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