2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子産生アデノウイルスベクターを用いた声帯内脂肪注入術の基礎的研究
Project/Area Number |
19591997
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
梅野 博仁 Kurume University, 医学部, 准教授 (40203583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 准教授 (70196228)
白水 英貴 久留米大学, 医学部, 助教 (90299454)
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 助教 (20299514)
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Keywords | 肝細胞増殖因 / アデノウイルスベクター / 成犬 / 声帯内脂肪注入術 / 喉頭切片標本 / 免疫科学染色 / 血管内皮細胞 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
【目的】声帯内に注入する脂肪に肝細胞増殖因子(HGF)を産生する非増殖型アデノウイルスベクターを混入することで,脂肪の自然吸収が抑制でき,脂肪の生着率が増すか否かを病理組織学的に明らかにする。 【方法】成犬4匹を用い,犬の下腹部より脂肪吸引法で自家脂肪を採取した後,右声帯にはHGF産生非噌殖型アデノウイルスベクターを混入した犬の自家脂肪を注入し,左声帯にはHGFを産生する能力がない非増殖型アデノウイルスベクターを混入した犬の自家脂肪を右側と同量注入した。注入した脂肪は成犬2匹では0.5m1ずつ,残りの2匹では1.0mlずつ両側声帯に注入した。注入から12カ月に犬の喉頭を摘出し,喉頭の前額断切片標本を作成した。組織標本はHE染色で脂肪細胞の存在範囲と脂肪細胞の状態を観察した。また,組織標本は免疫化学染色(factor〜VIII)も行い,脂肪細胞を栄養する周囲の毛細血管の内皮細胞を染色し,観察した。さらに,声帯内の脂肪細胞を走査型電子顕微鏡で観察し,脂肪細胞の状態を比較することで,注入後の脂肪に対するHGFの効果を検討した。 【結果】成犬4匹ともHGFを産生する非増殖型アデノウイルスベクターを混入した脂肪を声帯に注入した側の脂肪が,HGFを産生する能力がない非増殖型アデノウイルスベクターを混入した側よりも脂肪容積が大きく,脂肪細胞が安定して存在し,脂肪細胞周囲の毛細血管の存在が明らかであった。また,SEMでもHGFを産生する非増殖型アデノウイルスベクターを混入した脂肪を声帯に注入した側の声帯内脂肪が,より密に生着しているのが確認できた。 【結論】声帯内に注入する脂肪に肝細胞増殖因子(HGF)を産生する非増殖型アデノウイルスベクターを混入することで脂肪細胞周囲の毛細血管の増殖が促進された結果,声帯内に注入した自家脂肪の自然吸収が抑制され,脂肪の生着率が増す可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)