2008 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子産生アデノウイルスベクターを用いた声帯内脂肪注入術の基礎的研究
Project/Area Number |
19591997
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
梅野 博仁 Kurume University, 医学部, 准教授 (40203583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 准教授 (70196228)
白水 英貴 久留米大学, 医学部, 助教 (90299454)
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 助教 (20299514)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / アデノウイルスベクター / 声帯内脂肪注入術 / 喉頭枠組み手術 / 反回神経麻痺 / 神経即時再建 / 音声検査 |
Research Abstract |
一側声帯麻痺に対する声帯内自家脂肪注入術に肝細胞増殖因子産生アデノウイルスベクターを用いると、更なる治療成績の向上が期待できるという2007年度の実験結果を踏まえ、現時点での一側声帯麻痺に対する声帯内脂肪注入術64例と喉頭枠組み手術62例との治療成績を比較検討した。その結果、両術式ともすべての音声検査のパラメータで有意な改善が得られることが再確認された。また、術前ではすべてのパラメータで脂肪注入群が喉頭枠組み手術群より有意に良好であったが、術後においてもすべてのパラメータで脂肪注入群が喉頭枠組み手術群より有意に良好であったことが確認できた。この結果より、現行の脂肪吸引法による自家脂肪採取方法と注入部位を工夫した脂肪注入方法の術式に対する有用性が証明されたと共に、喉頭枠組み手術における術式の問題点を治療成績の比較から推測することができた。さらに、一側反回神経麻痺に対する理想的な術式は神経吻合や神経移植術であり、反回神経切除例に対する神経即時再建症例9例と反回神経切除後に声帯内脂肪注入術を施行した25例との術後音声の比較を行った結果、術後1年では両手術群とも良好な音声の改善が得られ、術後の音声パラメータに有意差は認められなかった。この結果からも、声帯内脂肪注入術は有用な術式であることが確認できた。声帯内自家脂肪注入術に肝細胞増殖因子産生アデノウイルスベクターを用いると更なる治療成績の向上が期待できるため、将来、一側反回神経麻痺に対する声帯内脂肪注入術は喉頭枠組み手術や神経再建よりも優れた効果が得られる術式として確立される可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)