2008 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌におけるSP細胞の同定と癌幹細胞としての機能に関する研究
Project/Area Number |
19592000
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
藤井 正人 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 部長 (70129633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 廣[イ] 独立行政法人国立病院機構東京医療センター(臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 研究員 (40425773)
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Keywords | 頭頸部癌 / 癌幹細胞 / SP細胞 |
Research Abstract |
近年、癌組織中における、自己複製と多分化能をもつ幹細胞の存在が明らかとなりその機能について多くの報告がなされている。癌の再発、転移に癌幹細胞は深く関わっていることが報告されている。頭頸部癌においては高い再発率、転移率のために、根治治療にもかかわらず3年生存率は40-60%と予後不良である。頭頸部癌に対して再発や転移を抑制するために、頭頸部癌における癌幹細胞の同定とその機能の解明が必要となる。 我々が継代培養している頭頸部癌細胞株HSC3とHSC4を用いて、Side population(SP)の存在、Clone形成率また幹細胞マーカーも発現を調べた。その結果、HSC4にSP細胞の存在を確認されたが(約0.4%)、HSC3においてはSP細胞の存在あ確認されなかった。HSC4から分離したSP細胞とMP細胞をささらに培養すると、SP細胞由来の細胞にはSPとNo-SP(MP)細胞が存在することが確認された。しかし、MP由来の細胞にはSP細胞の存在は確認されなかった。SPとMP細胞における単一細胞のClone形成率では、有意差が認められなかった。幹細胞のマーカーであるOct3/4,Nanog,Bim-1の発現について検討した。その結果、Oct3/4,Nanog,Bim-1のすべてにおいてMP細胞と比べてSP細胞の方が高発現していることが確認された。 以上の結果から、頭頸部癌においてSP細胞の存在が確認され、それらが癌幹細胞としての機能を持つことが示唆され、癌幹細胞のマーカーを発現していることが確認された。今後、このSP細胞を利用して、癌幹細胞としての性質の維持、増殖、分化に関連する因子を解明する予定である。それらの因子やマーカーを明らかにすることによって頭頸部癌の治療の進歩が期待できる。
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