2007 Fiscal Year Annual Research Report
言語は小児の脳内でどの様に形成され障害でどの様に変化するか
Project/Area Number |
19592002
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Research Institution | Foundation for Biomedical Research and Innovation |
Principal Investigator |
内藤 泰 Foundation for Biomedical Research and Innovation, 分子イメージング研究グループ, 客員研究員 (70217628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 道雄 財団法人先端医療振興財団, 分子イメージング研究グループ, グループリーダー (00216558)
篠原 尚吾 財団法人先端医療振興財団, 診療開発部医師, 研究員 (80263078)
藤原 敬三 財団法人先端医療振興財団, 診療開発部医師, 研究員 (10443566)
菊地 正弘 財団法人先端医療振興財団, 診療開発部医師, 研究員 (90443564)
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Keywords | 言語習得前失聴小児 / 聴覚連合野 / FDG-PET / 視覚連合野 / 人工内耳 / 視覚言語 / 語音 |
Research Abstract |
視覚的な言語刺激課題負荷を行なった言語習得前失聴小児群と健聴成人群を比較すると、難聴小児群で活動が亢進していた領域は、右中心前回、右中心後回、左上および下頭頂小葉、左および右上側頭回(聴覚連合野)、右中側頭回(聴覚連合野)であり、視覚情報処理の背側経路に加えて聴覚連合野である上および中側頭回の賦活が観察された。聴覚活用の程度が相対的に低い例ではいわゆる聴覚連合野に相当する上および中側頭回の読話による有意の賦活が見られたが、聴覚活用の程度が進んだ症例では代謝の亢進部分が減少して左半球優位となり、聴覚連合野の賦活が少なくなった。高度難聴があっても十分な聴覚活用ができる例では健聴成人との間に読話による脳賦活で有意の差がなくなった。また、1例では人工内耳手術前と、術後1年2か月の2回FDG-PET検査を行った。術前のFDG-PET検査では右上側頭回の聴覚連合野、左頭頂小葉、右楔部、両視覚連合野に賦活の亢進を認めた。5歳3ヶ月で人工内耳手術を行い、語音の弁別、表出ともに改善したが、また読話と手話を主に使用しており、今後の方針を検討するために、6歳5ヶ月時にFDG-PETの再査を行った。その結果、後頭葉視覚野の賦活は不変であったが、左頭頂葉の賦活が増加し、右半球の頭頂葉にも有意の賦活領域が出現した。一方、右上側頭会の賦活は、その位置は不変であったが、t値と閾値上のボクセル数は減少しており、上側頭回での視覚言語処理が相対的に減少していると推測された。これは、人工内耳手術で聴覚信号が入力されるようになり、それまで視覚情報処理を行っていた聴覚連合野が、本来の聴覚情報処理を行うように可塑的に再編成された結果と推測された。これらの結果により、FDG-PETを用いることで、難聴小児の言語処理における視覚と聴覚の相互関係の基盤となる脳活動を画像として観察、評価することができることが示された。
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Research Products
(6 results)