2008 Fiscal Year Annual Research Report
強度近視眼における眼内線維増殖および網膜剥離の研究
Project/Area Number |
19592017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生野 恭司 Osaka University, 医学系研究科, 講師 (50294096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
大島 佑介 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20362717)
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Keywords | 強度近視 / 網膜 / 内境界膜 / 硝子体手術 / 線維化 |
Research Abstract |
黄斑円孔網膜剥離は強度近視特有の疾病で、黄斑部に生じた黄斑円孔から網膜剥離を生じ失明にいたる。黄斑円孔網膜剥離は手術によって治療可能であるが、手術成績は不良である。中心窩分離症は黄斑円孔網膜剥離の前駆状態と考えられており、中心窩分離症に硝子体手術を施行することにより、黄斑円孔網膜剥離の予防的治療が可能で、手術予後も黄斑円孔網膜剥離と比較して良好である。このように中心窩分離症と黄斑円孔網膜剥離の鑑別は非常に重要だが、検眼鏡的には困難なことも事実である。今回、我々は眼底自発蛍光を用いて、網膜剥離と網膜分離の区別が可能であることを報告した。すなわち網膜剥離では眼底自発螢光が低蛍光になるのに対し、網膜分離では蛍光強度に差がないことを発見した。この所見により今後、網膜剥離と分離の鑑別診断に役立つだけでなく、低蛍光領域の面積を追跡することにより、網膜剥離進行速度や予後推定に役立てることも可能である。また、分離症には中心窩視細胞が網膜色素上皮より剥離している中心窩剥離型と分離だけで剥離は生じていない網膜分離型の2型があることを報告し、手術成績が異なることを報告した。すなわち、中心窩剥離型では術前に中心窩視細胞が障害されているため、手術後の網膜復位により視力改善がより期待できることを報告した。しかしながら、最新の光干渉断層計所見から、中心窩剥離型では、視細胞障害が強くまた、網膜分離型では障害が著明でないことも発見した。このことから、中心窩剥離型で手術を行うのが理想であるが、長期に放置すると視力改善の期待が低下することも示唆された。
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