2007 Fiscal Year Annual Research Report
加齢黄斑変性の病態解明-視細胞における脂質酸化とマクロファージの役割
Project/Area Number |
19592019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瓶井 資弘 Osaka University, 理学系研究科, 准教授 (40281125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
辻川 元一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70419472)
坂口 裕和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80379172)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 酸化ストレス / 脂質酸化 / マクロファージ / 網膜色素上皮細胞 / MCP-1 / 視細胞 |
Research Abstract |
加齢黄斑変性(AMD)の発症に関し、酸化ストレスの関与を示す報告は多いが、現象間の関連はまだ不明な点が多い。本年度は、光照射による酸化ストレスを、網膜におけるリン脂質酸化と、それにより惹起されると考えられる炎症反応の2点について検討した。 2ケ月、12ケ月のマウスに、青色LED光(2mW/cm^2)の下で1週間飼育したところ、マウス網膜全層に酸化リン脂質が誘導され、青色光照射により有意に(p<0.001)増加していることが免疫染色、ELISAで判明した。それらの増加は2ケ月マウスと比べ、12ケ月マウスで著明であった。2か月の若年マウスに比べ12ケ月の中高齢マウスで有意に酸化リン脂質が増加していたことは、加齢に伴い抗酸化作用が減弱し、光による酸化作用を受けやすくなっていることを示していると考えられる。 慢性炎症反応で重要な働きをしているmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)も光照射により増加しており、その増加は2ケ月マウスと比べ、12ケ月マウスで著明であった。これらの結果は加齢黄斑変性の発症が年齢と共に増加することの説明になると思われる。 次に、培養ヒト網膜色素上皮細胞に酸化リン脂質を投与すると、添加容量に依存してMCP-1の発現上昇を認めた。このことより、光照射により酸化リン脂質が誘導され、その結果、MCP-1が増加するという一連の現象が起こっていると推測できた。MCP-1はマクロファージの誘導に重要な分子である。動脈硬化でもその役割が注目されており、同じ慢性炎症性疾患と考えられる加齢黄斑変性でも重要な役割を担っている可能性があると思われた。 以上より、加齢に伴い、光照射によるリン脂質酸化が増強され、炎症が惹起されることが判った。酸化リン脂質はMCP-1の発現増加を介して、AMDの発症に関わっている可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)