2009 Fiscal Year Annual Research Report
網膜ジストロフィにおける遺伝子異常と疾患表現型の相関研究
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19592042
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
林 孝彰 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (10297418)
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Keywords | 遺伝性網膜疾患 / 遺伝子変異 / 黄斑変性 / 網膜変性 / 色覚異常 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
網膜ジストロフィの大部分は、遺伝性の疾患で多種の疾患が含まれる。網膜視細胞や網膜色素上皮の機能障害に伴い、夜盲、黄斑変性、色覚異常、視力・視野障害が出現する。家族性ドルーゼンとして知られているMalattia Leventinese (ML)/Doyne honeycomb retinal dystrophy (DHRD)は、常染色体優性遺伝の網膜(黄斑)ジストロフィである。その原因としてEFEMP1遺伝子のミスセンス変異(Arg345Trp)が唯一の原因遺伝子変異として報告されているが、本邦で遺伝子変異を有するML/DHRDの報告例はなかった。我々は、ML/DHRDが疑われた症例の家系調査から、臨床的にML/DHRDの1家系を経験した。本研究で、その日本人家系について、海外で報告されたML/DHRD家系と疾患ハプロタイプについて比較検討した。遺伝子変異に関しては、日本人家系でML/DHRDと診断された4罹患者すべてにArg345Trp変異を認めた。ハプロタイプについては、遺伝子変異周辺(3.4Mb)の1塩基多型(SNPs)およびマイクロサテライトマーカを用い、インド人家系・米国人家系と比較した結果、Arg345Trp変異周辺のマーカ配列はインド人・欧米人のものと明らかに異なっていた。このように日本人家系では、過去の報告と異なるハプロタイプを有しており、日本人家系の祖先でArg345Trp遺伝子変異が独立に発生した可能性が示唆された。遺伝子診断法によって、ML/DHRDの日本人家系の存在が初めて明らかにされた。しかし、疾患表現度は同一家系内であっても多様性があり、遺伝子変異と病態の関連性については、さらなる検討が必要と考えられる。
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