2008 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸細胞膜トランスポートを標的とした小児固形腫瘍に対する治療法の開発
Project/Area Number |
19592055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和佐 勝史 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (10240467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 正洋 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60165272)
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Keywords | 神経芽細胞腫 / アミノ酸トランスポート / 低酸素 / 抗癌剤 / 腸管上皮細胞 |
Research Abstract |
1.神経芽細胞腫において低酸素状態が細胞膜アミノ酸トランスポート活性に及ぼす影響:ヒト神経芽腫細胞cell line、 SK-N-SHを用い、低酸素状態が細胞膜アミノ酸トランスポート活性に及ぼす影響を検討した。8時間低酸素後のグルタミンGln,グルタミン酸GluおよびロイシンLeuトランスポートはcontrolと有意差を認めなかったが、16時間および24時間低酸素後のGlnおよびLeuトランスポートはcontrolに比し有意に上昇した(p<0.01)。この上昇は、細胞膜のアミノ酸トランスポーターの数の増加によるものであった(Vmax効果)。神経芽細胞腫アミノ酸トランスポートは、低酸素条件下でup-regulateすることが明らかとなり、本メカニズムが低酸素下での腫瘍の増殖に関与する可能性が示された。 2.抗癌剤(Cisplatin)投与が腸管上皮細胞アミノ酸トランスポートに及ぼす影響:腸管上皮細胞のCisplatin投与に伴う反応を、主に細胞膜アミノ酸トランスポートの面から検討した。ヒト腸管上皮細胞としてCaco2を用い細胞をCisplatin投与群と対照群に分け、アミノ酸トランスポート活性、mRNA、蛋白の発現を測定した。GlnおよびLeuは対照群に比し有意に上昇した。また、Glnトランスポート遺伝子ASCT2のmRNAおよび蛋白の発現は対照群に比し優位に増加した。細胞内glutathione量およびglutaminase酵素活性も優位に増加した。Cisplatin誘導性腸管粘膜障害モデルでは、アミノ酸トランスポート活性の上昇が、抗癌剤に対する腸管上皮細胞の生存に関与している可能性が示された。
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