2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児重症気管狭窄症に対するハイブリッド型気管移植法の開発
Project/Area Number |
19592058
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
前田 貢作 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (60332756)
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Keywords | 気管狭窄 / 組織移植 / 小児外科 |
Research Abstract |
目的:小児外科領域において、気道狭窄の外科治療は未だ解決されていない重要な領域である。特に、先天性気管狭窄症に対する外科治療は最も治療が困難で解決すべき問題が山積している。1980年代に自家肋軟骨グラフト移植による治療成功例が報告されて以来、種々の自家組織によるグラフトが狭窄部の内腔を拡大する目的で用いられてきたが、未だ確立した成績を呈するものは現れていない。 方法:冷凍保存した同種気管グラフトを脱細胞化し、無細胞・多構造の新しい足場(スカフォールド)を作成する。これに組織工学的手法を加えることにより、自己組織に近いハイブリット型気管グラフトを作製する。さらに、種々の血流維持の手法を比較検討し、グラフトが気管狭窄症に対して有効な治療手段となりうるのかを検討した。 結果:日本白色家兎から採取した気管組織を急速凍結し一定期間凍結保存した後、解凍し他の家兎の気管に部分グラフトとして間置移植した。 凍結保存した組織の無細胞化をはかるため、あらかじめ蒸留水中保存を行った。さらにレシピエント家兎の末梢血より採取した幹細胞が豊富であるとされるPRP (Platelet Rich Plasma:血小板豊富血漿)を加えグラフトト共に一定期間培養した後移植した。それぞれに血流維持のため、胸鎖乳突筋を巻き付けて新たな血流を維持させる群、及び胸腺組織を巻き付けて血流を維持させる群を追加した。これらの移植されたグラフトの性状を確認するために、4週または8週目に気管を摘出し病理学的に検討した。 以上の実験により、各グラフトによる気管内腔の変化、グラフトの生着・成長および変化を検討したが、従来の凍結保存のみの手法との間に有意な差違は確認できなかった。また、脱細胞化したグラフトは強度面で従来法より劣る事が示唆された。今後、さらなる手技の開発が必要と考えられた。
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Research Products
(5 results)