2008 Fiscal Year Annual Research Report
二分脊椎症における胎児手術の適用可否に関する基礎的研究:モデル動物を用いた解析
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19592059
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
樅木 勝巳 Okayama University, 自然生命科学研究支援センター, 准教授 (70304615)
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Keywords | 二分脊椎症 / ニワトリ / 疾患モデル動物 / 歩行障害 / 神経障害 / 神経発生 / 脊髄 / 実験動物 |
Research Abstract |
椎弓の欠損を主徴とする非致死性脊髄奇形である二分脊椎症は、主に椎弓欠損のみの潜在性型と椎弓欠損に髄膜あるいは脊髄と髄膜の両方が巻き込まれる嚢胞性型とに大別される。一般に潜在性型は無症状であるが、嚢抱性型は種々の程度の神経障害を示す。これまでの二分脊椎症に関連する研究では、この神経障害の病態は臨床知見に基づいたものがほとんどであり、実験に基づく知見は臨床知見に比べて少ない。したがって、その詳細な病態については不明な点が未だ多く残されている。 我々はこれまでに二分脊椎症で見られる神経障害の病態を詳細に解析することを目的として、ヒト二分脊椎症患者に似た後肢運動障害を示す二分脊椎モデル動物を開発した。平成20年度では、平成19年度の研究において見いだした運動神経細胞の発生遅延現象について実験で使用したモノクローナル抗体の特性から疑問点が示されたので、平成19年度の実験結果の確証をを得るための実験を行った。すなわち、これまで使用した運動神経細胞のサブクラスマーカーであるIslet-1のモノクローナル抗体(クローン39.4D5)は、Islet-1だけでなくIslet-2も同時に検出するので、Islet-1のみを選択して維合するモノクローナル抗体(クローン40.2D6)を用いて再実験を行った。また、同時に脊髄奇形領域における運動神経細胞サブクラスを染め分けも再度実行し、これらの数の変化及び脊髄内での神経細胞の分布変化を追跡した。 本年度に得た結果は、昨年度の結果を支持するものがえられた。また、詳細な検討実施したところ、奇形例の運動神経細胞の発生遅延は約1〜2日程度ではなく、わずか24時間程度であることが明らかとなった。今後、この遅延現象と本モデルの歩行障害の関連性を明らかにする必要があると考えている。
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