2008 Fiscal Year Annual Research Report
創面でのデュロタキシス依存性細胞移動がケロイド発症に及ぼす影響
Project/Area Number |
19592068
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 信也 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (90220748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 晃一 千葉大学, 医学部・附属病院, 講師 (70323425)
野村 純 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30252886)
杉田 克生 千葉大学, 教育学部, 教授 (40211304)
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Keywords | デュロタキシス / ケロイド / メカニカルストレス / 創傷治癒 / 繊維芽細胞 / テトラスパニンウェッブ / 表皮角化細胞 / スクラッチモデル |
Research Abstract |
ケロイドは難治性の皮膚肉芽種であり、過剰な細胞外マトリックスの蓄積や、線維芽細胞 の増殖により特徴付けられる異常な創傷治癒の形態である。また、創傷部位を越えて浸潤・進展することにより、腫瘍性の増殖としても捉えられている。ケロイド発症のメカニズムとしては遺伝的因子、サイトカインの分泌および感受性制御、細胞外マトリックス構築の制御等様々な問題が予想されているが、未だ明確なメカニズムは示されていない。病因を解明する一つのヒントとして、創傷治癒過程における細胞の異常増殖、浸潤及び進展が起こるという点が上げられる。また、それに伴う細胞外基質の不整な蓄積が見出されている。この結果、ケロイドは柔軟性に乏しい固い組織となり、正常組織に浸潤することで機能的または形態的な問題を惹起している。さらに重要な別の特徴としてケロイドはメカニカルストレスを受けやすい前胸部や関節部などの部位に好発することが指摘されている。我々はこの点に着目し伸展培養装置NC-500を使用し、コラーゲンシリコンシート膜上でのケロイド線維芽細胞のメカニカルストレス感受性とそのシグナル伝達経路について解析してきた。皮膚由来線維芽細胞は伸展方向に対して垂直に配列した。一方創傷治癒モデルにおいて、伸展ベクトルに対して平行にスクラッチすると細胞の這い出しを認め、欠損部は24時間後に修復されたが、伸展ベクトルに垂直方向にスクラッチすると細胞の這い出しが少なかった。また、ウエスタンブロット法解析の結果、伸展負荷によりERK及びFGF2の発現量が増加することが明らかになった。さらにMEK分子の発現量が伸展方向に対するスクラッチの方向(水平と垂直)で差があることが明らかになった。また、創傷治癒とテトラスパニンウェッブ関連タンパク質の関係に着目し、表皮角化細胞において、SiRNAを用いたEWF-1,CD9,CD81遺伝子のノックダウン実験にて細胞の形態変化が明らかとなった。
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