2009 Fiscal Year Annual Research Report
創面でのデュロタキシス依存性細胞移動がケロイド発症に及ぼす影響
Project/Area Number |
19592068
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 信也 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (90220748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 晃一 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (70323425)
野村 純 千葉大学, 教育学部, 准教授 (30252886)
杉田 克生 千葉大学, 教育学部, 教授 (40211304)
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Keywords | デュロタキシス / ケロイド / メカニカルストレス / 創傷治癒 / 繊維我細胞 / テトラスパニン / 表皮角化細胞 |
Research Abstract |
ケロイドは難治性の皮膚肉芽腫であり、過剰な細胞外マトリックスの蓄積や、繊維芽細胞の増殖により特徴付けられる異常な創傷治癒の形態である。また、創傷部位を超えて浸潤・進展することにより、腫瘍性の増殖としても捉えられる。ケロイド発症のメカニズムとしては遺伝子的因子、サイトカインの分泌および感受性制御、細胞外マトリックス構築の制御等様々な問題が予想されているが、未だ明確なメカニズムは示されていない。病因を解明する一つの手がかりとして、創傷治癒課程における細胞の異常増殖、浸潤および進展が起こり、それに伴い細胞外基質が不整に蓄積することが挙げられる。2000年にChun-Min Loらが報告したデュロタキシスという現象があるが、これは細胞が足場の強度を認識し、より安定性の高い足場へと移動するというものである。ケロイドはコラーゲンなどの蓄積により形成された固く安定した組織であり、従ってケロイド組織自体が足場を提供している可能性があり、デュロタキシスがケロイドの重要な特徴である浸潤・進展に関与する可能性が予想され、また足場認識と細胞移動には細胞接着分子が重要な働きをしていると考えられ、その細胞接着を制御する因子として、テトラスパニンウェッブ関連のタンパク質に着目し、ケロイド繊維芽細胞が足場の強度変化に対する影響を調べた。しかしながら、足場強度の異なるシャーレを用いて、ケロイド繊維芽細胞の増殖、細胞形態、スクラッチ創への細胞移動を観察したが明らかな差は認めず、各種テトラスパニン関連タンパクのSiRNAノックダウン実験を行ったが、ケロイド繊維芽細胞では変化が認められなかった。一方、通常皮膚の表皮角化細胞で、CD151,インテグリンα6、EWI-FのSiRNAノックダウンにて、スクラッチ創での細胞移動が阻害されており、表皮角化細胞では創面での細胞移動にこれらのタンパクが関連している可能性が考えられた。
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