2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19592091
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
荒木 和邦 Saga University, 医学部, 准教授 (50193066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三溝 慎次 佐賀大学, 医学部, 講師
中島 幹夫 佐賀大学, 医学部, 教授 (70315191)
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Keywords | Vibrio vulnificus / 血清抗体価測定法 / Micro-IF |
Research Abstract |
佐賀県を中心に有明海沿岸地域で多くみられたVibrio vulnificusによる感染症は、生の魚介類摂取を介して、主に肝機能障害を有する中年男性が感染し、その7割が死亡するという深刻な健康被害をもたらす。有用な治療法が無い中、当大学附属病院ICUにて救命し得た患者は2名であったが、我々はその2名に本菌に対する抗体価が上昇していることを発見し、さらに本感染症予防のため感染しやすい住民を発見する方法として、本菌に対する血清抗体価測定システムを開発した。ヒト血清には(1)Vibro vulnificus感染症患者13例(救命6例、死亡6例、天気不明1名)、(2)未発症の肝機能障害者(ハイリスク群)27例、(3)未発症の肝機能正常者(ローリスク群)34例の血清を用い、Vibro vulnificus菌株に対する血清抗体反応をMicro immunofluorescence(Micro-IF)法にて測定し、その有用性を検証した。上記ヒト血清を10倍より2倍階段希釈し、スライドウェル上で希釈血清と反応後に洗浄した。蛍光標識抗IgG抗体を反応させ、蛍光顕微鏡で蛍光反応を観察した。40倍以上の希釈でも反応があったものについて抗体陽性とした。Vibro vulnificus感染症患者の抗体反応の経日的推移には、救命できた群と死亡群において明確な差は認められなかった。またVibro vulnificus感染症未発症者についてもハイリスク群とローリスク群の間に統計学的に有意差は認められなかった(x^<2>検定、p=0.126)。未発症の肝機能障害者の群で抗体陽性率が66%であったのに対し、未発症の肝機能正常者の群では85.3%と比較的高い傾向にあった。上記の結果より、本感染症予防のために易感染性患者の発見を促すには本測定システムは未だ十分とはとは言えない。本感染症の発症前のスクリーニングは本症が高い致死率であることから必須の課題であり、今後は、別の免疫学的手法での抗体価測定によりスクリーニングを行える方法を確立していきたい。
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Research Products
(2 results)