2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢ラットの虚血再灌流性急性腎障害における知覚神経活性化の役割
Project/Area Number |
19592092
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
野口 隆之 Oita University, 医学部, 教授 (90156183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 享介 大分大学, 医学部, 助教 (80336271)
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Keywords | 腎虚血再潅流傷害 / CGRP / PGI2 / VR-1 / アイロプロスト |
Research Abstract |
腎虚血再潅流ラットモデルを用いて生体防御反応のCGRP (calcitonin gene-related peptide)放出亢進がPGI2産生亢進を起こすことで腎傷害を軽減する可能性を検討した。腎虚血再潅流に伴い、腎局所で単球から放出されるTNF-αなどによりVR-1 (vanilloid receptor-1)が活性化される。その結果、知覚神経からCGRPが放出されCGRPレセプターに結合し、PGI2 (Prostaglandin I2)産生亢進を認めた。しかしVR-1拮抗薬カプサゼピンや血管内皮上のCGRPレセプター拮抗薬GGPR(8-37)の前処置やカプサイシン感受性知覚神経をカプサイシンで化学的に脱神経処理したラットでは、腎虚血再潅流に伴う過剰なTNF-α産生、好中球の活性化、血管内皮障害、血管透過性亢進、腎組織血流低下、腎機能低下を更に増悪させた。しかし、CGRPの皮下投与やPGI2誘導体のアイロプロストの投与により、腎虚血再潅流に伴うこれらの変化を改善した。 種々の炎症反応はVR-1を活性化し、知覚神経よりのCGRPを放出する。その結果、血管内皮細胞よりのPGI2産生を亢進し、炎症反応に伴うTNF-α 産生を抑制することで種々の炎症反応を軽減する生体防御反応を有する。したがって知覚神経を活性化する薬剤ならびに食品ではVR-1の活性化に伴うCGRP放出を介して、血管内皮細胞よりのPGI2を更に促進することにより、炎症に伴って生じる病態を軽減する可能性を有することが示された。
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