2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン剤(農薬・神経剤)中毒に対する治療薬・予防薬の神経学的作用機序の解明
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19592093
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
成松 英智 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (70295343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川真田 樹人 信州大学, 医学部, 教授 (90315523)
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Keywords | 海馬スライス / 神経筋接合部 / 興奮性シナプス伝達 / パラチオン / パラオキソン / プラリドキシム / ロクロニウム / コリンエステラーゼ |
Research Abstract |
平成19年度は,海馬スライス実験に加え、ラット摘出横隔膜神経筋モテルを用いた研究を関連・基礎研究として行った 1)海馬シナプス実験 グルタミン酸興奮性シナプスに対するparaoxonの影響を明らかにするため,海馬スライスを用いた電気生理学的実験を行った.電位記録には細胞外微小電極法を用いた.ParaoxonはCA1錐体細胞樹状突起上のグルタミン酸興奮性シナプス後電位を反映するfield EPSPを増大させ,またCA1錐体細胞体活動電位を反映するpopulation spikeに反復痙攣波を発生させた.これらはatropineの前投与により消失した.これらの成績は上記のfield EPSPやpopulation spikeの変化が,paraoxonのコリンエステラーゼ阻害作用により海馬スライス中に増加したアセチルコリンがムスカリン型アセチルコリン受容体を介して発生させたことを示す. 2)神経筋接合部関連実験 神経筋接合部に対するparaoxonとpralidoximeの相互影響を明らかにするため,ラット摘出横隔膜神経筋モデルの収縮実験を行った.接合部コリンエステラーゼに対するこれらの影響を,非脱分極性筋弛緩薬であるrocuroniumの濃度・反応曲線から定量評価した.Paraoxonは,筋収縮力を痙攣様に増大させた.低濃度(有効濃度以下)のrocuroniumは,このparaoxonによる筋収縮力増大を減弱させた.Rocuroniumは,筋収縮力を濃度依存性に抑制した.Paraoxoneはこのrocuronium濃度-反応曲線を右方移動させた.Pralidoxime前投与および同時投与はこのparaoxonによる右方移動を減弱させたが,pralidoxime後投与ではこの減弱効果は見られなかった.これらの成績は,paraoxonのコリンエステラーゼ阻害作用が非脱分極性筋弛緩薬の作用を減弱させること,およびpralidoximeは事前・同時投与でのみparaoxonによる筋弛緩薬作用性減弱を抑制することを示す.
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Research Products
(2 results)