2007 Fiscal Year Annual Research Report
高温環境下での血管内皮細胞傷害進展因子-高グルコース濃度の影響
Project/Area Number |
19592100
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木下 浩作 Nihon University, 医学部, 准教授 (90260968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雅楽川 聡 日本大学, 医学部, 助手 (70328730)
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Keywords | 糖 / 高温 / サイトカイン / 敗血症 / 多臓器不全 |
Research Abstract |
高温環境下では短期間の高血糖でも血管内皮細胞に悪影響を与え、感染時に増加するLPSは、血管内皮傷害を増強させることを証明するために本研究を計画した。これまで我々は、常温環境下での高血糖が血管内皮細胞傷害に関与していることを明らかにしてきが、熱中症患者の急性期病態における高血糖が、血管内皮細胞の反応に及ぼす影響は未だ解明されていない。本研究では、熱中症患者の多臓器不全への進展に高血糖が関与していることを明らかにする目的で、高温・高糖(38.5℃,糖濃度300mg/dl)環境下に血管内皮細胞を培養し、LPS刺激下のIL-6産生を観察した。その結果、高糖環境でのIL-6産生は、培養温度37℃、38.5℃いずれの環境でも有意に亢進した。しかも、38.5℃での高糖環境での培養は、37℃に比べて有意にIL-6産生が亢進した。本研究結果は、高温・高糖環境が血管内皮細胞におけるIL-6産生を増加させる一因であることを示している。この反応はLPS存在下で促進される。従って、熱中症患者にみられる高血糖は、血管内皮細胞からのIL-6産生などの炎症反応を増大させ、二次性組織傷害を悪化させ、多臓器不全進展の危険因子となり得ると考えられた。熱中症に合併する高血糖や肺炎などの感染性合併症は、傷害組織内の好中球集積を助長し、熱中症患者の多臓器不全進展の一因となっていることが明らかにできるものと考えられる。今後、地球規模での異常気象と高温化、高齢化社会を向かえ、重症の熱中症患者の増加が推定される。本研究結果から、熱中症患者での高血糖は、多臓器不全進展の危険因子として重要であり、短期間の高血糖も厳格に管理する必要性を明らかにすることの社会的意義は大きいと考える。
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Research Products
(1 results)