2008 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲下骨髄細胞アポトーシス誘導と免疫抑制におけるTIRファミリーレセプターの役割
Project/Area Number |
19592104
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
小谷 穣治 Hyogo College of Medicine, 医学部, 准教授 (80360270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 真理子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00412015)
大家 宗彦 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40309480)
丸川 征四郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00030883)
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Keywords | 外科侵襲 / 骨髄 / アポトーシス / エンドトキシン / IL-18 |
Research Abstract |
本研究では過大侵襲下で致命率の高い敗血症に着目し、顆粒球の成熟段階とTLR (Toll-like receptor)ファミリーのシグナル(lipopolysaccharide;LPSとIL-18との関連)及びアポトーシスについて検討した。雌雄のwild type(WT)マウスとIL-18 knock out(KO)マウスに40mg/kgのLPS(E.coli Olll:B4)を腹腔内投与し、投与後24時間まで経時的に犠死せしめ、骨髄細胞、末梢血、腹腔内細胞を採取した。血漿サイトカインのTNF-alpha、IFN-gamma、IL-12p70、IL-6と各細胞のアポトーシスはフローサイトメーターで、IL-18はELISAで測定した。24時間後の生存率雄WTマウス41%、雌WTマウス84%、雄KOマウス60%、雌KOマウス82%と、雄は存率が低く、かつ雄ではKOマウスで生存率が改善した。血漿中サイトカイン濃度IL-6、IFN-gamma、IL-12p70に雌雄差はなかった。しかし、IL-18は雄で有意に高く、かつL-18は経時的に増加し続け、24時間後が最高値であった。本研究より、雄はLPSの刺激に対して骨髄から顆粒球系の細胞を末梢へとより多く放出し、腹腔内に拡がるが、雌の反応は少ないことが示唆された。また、雄では腹腔内顆粒球のアポトーシスが遅延することで、活性化した顆粒球が多く存在する可能性が考えられた。また、エンドトキシン血症下で過剰なIL-18の存在が生存率に関与する可能性が示唆され、IL-18はエンドトキシン血症下の骨髄球系のアポトーシスを雌でのみ促進している可能性が示唆された。性差の検討を追加して行うことが出来たため、顆粒球の細胞動態とアポトーシスには性差が存在し、IL-18は性別により血中濃度や顆粒球系細胞に対する作用が異なることが明らかとなった。このことは性差における致命率の差にIL-18が関与していることを示しており、今後のIL-18投与、又は中和療法において性別が重要であること示すものである。
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