2007 Fiscal Year Annual Research Report
筋失調症モデルマウスの頭頚部を支配する運動性及び知覚性ニューロンに関する研究
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19592110
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市川 博之 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20193435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 朋貞 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135729)
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Keywords | ジストニン / ノックアウト / 三叉神経節 / 中脳路核 / カスパーゼ / パルブアルブミン / 免疫組織化学 / マウス |
Research Abstract |
筋失調症(ジストニア)では不随意的に四肢の筋肉が緊張したり舌の連縮や顎の変位等が認められる。この筋失調を示すマウスにおいてはジストニンの遺伝子変異が認められ、この遺伝子をノックアウトしたマウスでは筋失調の症状を示したことから、マウスの筋失調症の原因がジストニン遺伝子の変異であることが明らかとなった。このノックアウトマウスでは筋組織や運動神経には異常が全く観察されなかった。しかし後根神経節における大型のニューロンが消失していたことから、発生段階において四肢の筋肉の伸展受容(固有感覚受容)ニューロンに細胞死が生じ、手足の随意運動が損なわれるという可能性が示唆されている。 三叉神経系における固有感覚受ニューロンは三叉神経中脳路核に存在している。これらのニューロンは咀嚼筋中の筋紡錘に軸索を送り咀嚼筋の伸展や緊張を伝える機能を持っている。本研究では細胞死のマーカーであるcaspase-3の免疫染色により、三叉神経系における固有感覚受ニューロンの細胞死をジストニンノックアウトマウスとワイルドタイプマウスで比較した。その結果、何れのマウスにおいても三叉神経中脳路核ニューロンの細胞死が大変稀であることが明らかとなった。また生後2週のこれらのマウスにおける三叉神経中脳路核ニューロンをパルブアルブミンの免疫染色により調べた結果、何れのマウスにおいても三叉神経中脳路核ニューロンは大変豊富で、それらの数に有意な差は認められなかった。以上の結果から、ジストニンの遺伝子が欠損しても三叉神経系における固有感覚受ニューロンにはほとんど影響がないことが示唆された。今後、表情筋、舌筋及び咀嚼筋を支配する運動ニューロンの分布や細胞死とともに三叉神経節における痛覚、触覚、圧覚などの外来性刺激に対する受容ニューロンへのジストニンの遺伝子欠損による影響について明らかにする予定である。
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