2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋失調症モデルマウスの頭頚部を支配する運動性及び知覚性ニューロンに関する研究
Project/Area Number |
19592110
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
市川 博之 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20193435)
|
Keywords | ジストニン / 三叉神経中脳路核 / 三叉神経節 / isolectin B4 / TrkA / CGRP / caspase 3 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
筋失調症(ジストニア)では不随意的に四肢の筋肉が緊張し、痙攣することにより手足の運動が障害される。この疾患の一つのモデルであるジストニンノックアウトマウスでは同様の症状を示すことが知られているが、筋組織や運動神経には異常が全く認められない。しかし手足の筋肉の緊張や弛緩を感受するニューロンや筋紡錘が消失しているという報告がされている。一方、口腔顔面領域においては顔面や舌の連縮や顎の変位等がジストニアの症状としてあらわれる。口腔顔面領域における筋失調が哺乳や咀嚼機能を妨げ、生命の維持に危険をもたらす可能性があるにもかかわらず、この原因に関する研究は全く行われてこなかった。三叉神経運動核における咀嚼筋の運動ニューロンの分布をジストニンノックアウトマウスとワイルドタイプマウスとで比較した結果、脊髄神経系における運動ニューロンと同様に、いずれのマウスにおいても三叉神経運動ニューロンが豊富に観察された。また、三叉神経中脳路核を調べてもジストニンノックアウトマウスとワイルドタイプマウスにおいて固有感覚受容ニューロンが豊富に観察され、明らかな差は認められなかった。一方、これらジストニンノックアウトマウスと比較するために筋の変性疾患のモデルマウスであるdmuマウスを調べたところ、筋肉によって変性の程度に差があることが明らかとなった。また運動神経終板や脊髄の運動ニューロンにおいて、変性のマーカーであるCGRPの発現が上昇していた。以上の結果から、ジストニンノックアウトマウスにおいては三叉神経系における運動ニューロンや固有感覚受容ニューロンに変性は認められないことが明らかとなった。 dmuマウスにおいては筋変性とともに運動ニューロンに変性が生じている可能性も示唆された。
|