2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経損傷に起因する口腔顔面領域の病的疼痛の発症機序に関する研究
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19592111
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 朋貞 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 博之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20193435)
山合 友一朗 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00158057)
寺山 隆司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60333689)
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Keywords | 神経切断 / ラット / 新生仔 / アポトーシス / カスパーゼー3 / カスパーゼー8 / カスパーゼー9 / 坐骨神経 |
Research Abstract |
当初の予定であった眼窩下神経に代えて、より普遍性の高いモデルである坐骨神経を用いて研究をおこなった。ラット新生仔の坐骨神経切断後、16時間から48時間にかけて受傷一次ニューロンの細胞体を含む切断側第5腰神経後根神経節のニューロンに、TUNEL染色によって標識されるDNAの断片化及び活性型caspase-8、-9と-3の免疫活性が観察された。坐骨神経切断後24時間の非切断側ではいずれのcaspase陽性ニューロンは極めて少なかった(<0.1%)が、切断側では4.4%、2.7%、4.2%のニューロンにcaspse-3、-8、-9の免疫活性を認めた。なお、坐骨神経切断12〜72時間のいずれの時間においてもcaspase-8の発現率は-3や-9と比較して少なかった。Caspaseは脊椎動物のアポトーシスにおけるシグナル伝達経路(caspase cascade)を構成する酵素群であり、initiator caspaseであるcaspase-8と-9はいずれもeffeter caspaseの前駆体であるprocaspase-3を制限分解することによって活性型のcaspase-3に変えることが知られている。TUNEL染色とcaspaseの二重染色による分析の結果、今回検索した3種のcaspaseの活性を示すニューロンの大部分(92.5〜94.6%)がTUNEL陽性反応を示したことから、これらのcaspaseがcascadeを構成し、アポトーシスの開始期に必要なシグナル伝達を行っているものと考えられる。また収縮したニューロンの細胞体やアポトーシス小体にはいずれのカスパーゼの免疫活性もみられなかったことから、caspase-3がそのターゲットとなる物質を分解し始めた後には、caspaseの活性が急速に失われ、以後、アポトーシスの過程はcaspaseの活性に依存せずに進行すると考えられる。
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