2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経損傷に起因する口腔顔面領域の病的疼痛の発症機序に関する研究
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19592111
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 朋貞 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135729)
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Keywords | カプサイシン / ラット / 新生仔 / アポトーシス / カスパーゼ-3 / カスパーゼ-8 / カスパーゼ-9 / 脊髄神経節 |
Research Abstract |
前年度の研究と対比するため、ラット新生仔にカプサイシン50mg/kgを全身投与(背部皮下)することによってnerve growth factor依存性の1次求心ニューロンの細胞死を誘発した。本研究者らは三叉神経節において、この細胞死がアポトーシスの形態的特徴を示し、DNAの断片化を伴うことを発見しており、その経時的も完了している。本研究ではカプサイシン投与後、第3-5腰髄神経節の10μm切片に免疫組織化学染色を施し、活性型caspase-3、-8、-9の免疫活性の検出を試みた。溶媒のみを投与した24時間後およびカプサイシン投与12時間後ではいずれのcaspaseについても免疫活性を示すニューロンは稀(<0.5%)であった。カプサイシン投与16時間後には免疫活性陽性ニューロンが増え始め24時間後ではcaspase-3、-8、-9陽性ニューロンはそれぞれ9.7%、4.7%、11.2%に達した。その後、陽性ニューロンは徐々に減少し、48時間後ではそれぞれ2.7%、1.0%、5.0%となった。72時間後ではcaspase-3、-9陽性ニューロンはそれぞれ0.6%、0.5%となった。caspase-9は細胞内カルシウム濃度の上昇などによってミトコンドリアから細胞質に放出されるチトクロムCなどの作用によって活性化され、caspase-8は細胞表面におけるFasligandの受容体結合によって活性化される。これらのcaspaseはカスケードの下流に位置するcaspase-3を活性化することによって細胞死を実行することが知られている。前年度の研究では刺激として末梢神経切断を行ったが、今回の結果もcaspase-3陽性ニューロンと-9陽性ニューロンの数はほぼ同数であり、-8陽性ニューロンの約2倍であった点で類似しており、神経切断とカプサイシン投与は1次求心ニューロンの細胞死の誘発に関して共通したメカニズムを持つものと考えられる。
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